3次元別館。

主に観劇の感想です。2.5舞台が多めでその他のミュージカルやストレートプレイも。

【観劇記録】1/23 髑髏城の七人 Season月 上弦の月(ライビュ)

昨年12月に劇場で観た下弦の月が自分の中でどストライク過ぎた訳ですが、他の方の感想などを拝見する度に上弦の月も気になってきて、昼公演をライブビューイングで観劇。

正直に言うと、見る前は主に完成度の面でちょっと不安があったんだけど心配なんて全くする必要なかった!こちらも最初から最後まで心から楽しめました。

 

以下、展開や台詞などのネタバレあり、かつ主観と妄想が入りまくった感想です。

 

細部は少しずつ異なるとは言え基本は同じ脚本と演出なのに、別のシーズンの舞台を見ているんだっけ?ってくらい、上弦と下弦で受ける印象が違う。

特に顕著だったのが天魔王で、同じなのは名前と大まかな外見だけ、と言っても過言ではないくらいでした。だってさあ、2幕の口説きの場面の後、エゲレスからの手紙を読んで崩れ落ちながら「生駒ぁ……」って泣きそうな声で側近のお姉さん*1に縋りついちゃうんだよ?!そんで生駒も慈愛に満ちた微笑みで頭撫でてあげちゃうんだよ?!下弦天は陶酔し切った台詞を吐きながらもどこかに冷静な部分を残してそうだったけど、上弦天は終始自分の一挙手一投足に酔ってる。短くまとめるなら「自己陶酔の激しい中二病(精神年齢込み)」といったところ。なんだけど、その情緒不安定で危ういところが魅力でもある。なので、捨之介に鎧を剥ぎ取られて負けた時、自らの身体を抱きしめて蹲る姿がとても哀れでした。鳥髑髏や下弦の天魔王は自害したというのは見せかけ、もしくはうっかり助かってなんだかんだしぶとく生きていそうな気がしてるんですが、上弦天は本当に命を絶っていそう、というか、あんな姿を晒してしまったらもう生きてはいけないだろうな、なんてことも思った。

蘭兵衛は漢くさくてかっこ良かった!ヤンキーっぽいと聞いてたけど、任侠という方がしっくり来るような、どこか陰のある頼もしいお兄さんでした。鳥→下弦の月、と見てきた中で一番、生身の人間の男性っぽさがあった。と言っても蘭兵衛としての姿は、本来の蘭丸の人格を封じ込めて新しい人間として生きるために、意識して作り上げた別の人格のように見えました。1幕ラスト、髑髏城に乗り込む時点では、本気で無界の里を救うつもりだったんじゃないかな。けれども天魔王の前では結局蘭丸としての自分を押さえておくことができず、完全にそっちに取って代わられてしまった。それで、かつて守ろうとしていた無界屋への襲撃が容赦ないものになっていたように思えました。蘭丸にとっては何の未練もない場所だからね。すると最後の「所詮は外道だ」はどういう気持ちで言ったんだろう、無界屋としての自分が少しだけ表に出てきたとか?などと考え込んでしまう。本当によくわかんない奴!*2

捨之介は爽やかで清涼感あふれる好青年。独特の台詞回しが少し言いにくそうに感じられてしまったのは否めないんですが、初舞台であれだけ存在感を出せるのは見事。立ち回りも、身のこなしの軽快さと抜群のスタイルの相乗効果で見栄えが良い。無界の里を訪れるシーンでの女性陣との絡みもどこか初々しく、確かにこの捨之介なら、かつての仲間を「止め」ようとはしても、「倒す(殺す)」という発想には至らないだろうな。

兵庫もまた、ピュア100パーセントのキラキラ青年。それでも兵庫のイメージは全く崩れておらず、良い意味で意表を突かれた。ハイステで座長を勤め続けてるだけあって、身体能力を生かした身軽なアクションも見応えあり。ラストの太夫へのプロポーズの場面では、下弦の方にはなかった「あんたの綺麗な背中に追いついて、追い越して、正面から受け止める」という内容の台詞が加わっていて、最後の最後でときめかせ殺す気かてめえ!と悶えさせられたよ畜生。

その極楽太夫も懐の広さと情の深さを感じさせつつ、最高にかっこいい姐さんでした。下弦の太夫は年齢不詳かつどこかお姫様めいた雰囲気があったけど、こちらはちょっと蓮っ葉で陽気な、みんなのお姉ちゃんといったところ。でも、花魁としての格もちゃんと備わってる。さすがは新感線の看板俳優のひとり。ワカドクロの贋鉄斎はゲキシネで見たけど、沙霧も演じたことがあるというのはびっくり。蘭兵衛との関係は年の離れた姉と弟のようで、恋愛ムードは皆無。太夫と蘭兵衛の関係については、今まで見たことのあるバージョンも「太夫の片想いっぽい」もしくは「憎からず想いあってはいるけど恋仲には至ってなさそう」くらいだったと記憶してるので、明らかにデキてるっぽい二人もちょっと見てみたい*3

霧丸は役者さんの年齢も相まって、下弦よりも大人びたイメージ。パンフでは「17、8の役作りだと無理がある」というような事を言ってたけど、こちらもちゃんとその年齢っぽかった。上弦の方が隠していた出自について、より自覚的だったように思えました。捨之介との年齢差はあまり感じなかったので、兄弟っぽいというよりは濃い友情?のような。今回初めて意識して見た役者さんだったんですが、ミュージカルにも多数出演している方なのね。

Season月自体は実質2回目の観劇だったので、初回は見逃してたり記憶がすっ飛んでた部分もしっかり確認。と言っても「百人斬りって天魔王と対決する前のあのシーンのことなのか。確かに斬る度に贋鉄斎が研いで、霧丸がサポートしてる!」とか「暫鎧剣の仕掛けってそういうことか!」とかそんな超基本事項だけど……初見では圧倒されまくっててついてくだけで精一杯だったんだってば!

他にも、いん平(病気の猿)がじん平(ド○えもん…どっちにしても息子酷い)だったり、贋鉄斎が1ミクロンくらいマトモ寄りだったり、兵庫の「くんろ」の後の「〜ずら」が「〜っぺ」だったりとか、細かい点のいろいろな違いも楽しかったです。

月髑髏については「若気の至り」ということがオフィシャルでも言われていて、上弦はより強くそれを感じました。捨之介は爽やかでまっすぐ、兵庫はピュアでキラキラ、霧丸も清々しい青年で、「青春の煌めき」がそこにあったような*4

*1:というより最早保護者

*2:だがそこが良い

*3:確か花髑髏がそんな感じなんだっけ?ゲキシネ待ってる

*4:天魔王はリアル中二で、蘭兵衛は……なんだろう

【観劇記録】1/7 ピカレスク◆セブン(少年社中)

 

  • 多少ネタバレありの感想です

 

観ようかどうしようか迷ってるうちに公演日を迎え、気になる気持ちを抑えきれずに当日券にて観劇。

終わった後の印象はというと、

マクベスが美しい。

そして、非常に感想が書き辛い。

どういうお話だったのか?と聞かれると説明に困ってしまう。キャラクターはなんだかんだ魅力的だし、ちゃんとオチもあるんだけど……別の演目についてどなたかが書かれていた「広げた風呂敷は一応畳まれるけど畳み方が強引」というのがしっくり来るような。と言いつつ、面白かったかと聞かれれば素直にイエスだったりもする。ううむ。

主人公の一人マクベスは、「実はいい奴」という描かれ方は全くされておらず、召喚された直後に裏切るし、数が合わないからというだけで一緒に召喚された面子の一人をあっさり殺すし、気に入った女は力ずくでモノにするしで救いようのない悪役。その他の面子もすぐに裏切ったり寝返ったり、悪い奴じゃなさそうだけど自分のことしか考えてなかったりとそんなんばっかり。感情移入できるとしたら、もう一人の主人公のイエミツくらい……かと言うとそうでもなく、悪役?たちの心情に共感できる部分もちょいちょいあったりして。マクベスを筆頭に「うわーこいつ最低」と何度かツッコミたくはなるけども、暗いイメージのあるリチャードIII世なども含め陰湿さはなく、どいつもこいつもカラッとした悪。

 

以下雑感を箇条書きで。

 

  • ビジュアル最高。衣装とヘアメイクが全体的に好み過ぎる。公式サイトの写真は黒メインですが、舞台上で実際に着用されているものはもっとカラフルでポップ。全然こんなんじゃなかったよ?!って人も半分以上いるけど、マクベスやイエヤス、ノブナガあたりはほぼそのまんまのイメージ。
  • メイン二人を筆頭に殺陣が多い。どの場面のも速い上に力強く、迫力に目を見張るしかない。
  • マクベスがとにかく美しい*1。ザ・悪人だけどあの美しさは正義。3人の魔女とかマクダフとか出てくるので、ざっくりでも元ネタを知ってた方がわかりやすいかも?
  • トクガワイエミツが、一応江戸時代にも関わらず「ピカレスク・セブン」なんて中二全開な単語を普通に使ってることについては、突っ込んだら多分負け。ヘタレだけど根は善人。白一色の衣装に逆に鮮やかなインパクトあり。○○食べたいんだ。
  • ピーターパンが悪役?と思ったけど、召喚された理由を聞けばそんな気もしないでもない*2。改めて身体能力の高い役者さんだなあと。フック船長と何だかんだ息ぴったり。コンビで清涼剤的存在のような、そうでもないような。
  • ジャックはいろいろと訳アリとは言え、××された相手についてっちゃうって展開はちょっとどうなんだ(汗)両手の獲物を駆使した殺陣がカッコいい
  • シリアスかつホラーっぽく見えるけどギャグも多い。黒い全身タイツの男とか昔の戦隊物によくいたアレだしそもそも黒くないし。
  • 冒頭のナレーションが何気に神谷浩史さん
  • 名前の出てこないあの人やその人にも実は◯◯でした!があるのかと思ってたら特に何もなかった
  • 人物紹介に思いっきり出てるのでわかってはいたんだけど、最近個人的な観劇歴において第六天魔王&太閤殿下が続いてる*3
  • 織田ノブナガめっちゃ美しかったけどな!

 

エンタテインメント性は十分だけど、好みは分かれると思う*4ので全力でのおススメはしづらい、というのが正直なところではあります。ただ、ビジュアルと殺陣はストレートに素晴らしいし、好き勝手しまくり、やりたい放題のキャラクター達は強烈に生き生きと描かれてて、ある意味清々しい。オフィシャルサイトのあらすじとビジュアルを見て、面白そう、と思う人ならおそらく楽しめるのではないかと*5

*1:重要なので二回書いた

*2:調べてみたら少年社中の過去作品つながりらしい

*3:関東荒野とか、小田原攻めとか

*4:NOT二次元オタク+ほとんど観劇しない友人にチラシを見せたら引いてた

*5:このエントリーを書いてる現在、まだ当日券もあるそうですよ……と地味にダイレクトマーケティングしてみる

【観劇記録】1/3 ミュージカル「黒執事」-Tango on the Campania-

2018年最初の観劇は生執事でした。

以下、原作&舞台自体のネタバレありの感想です。

 

  • 今回も再現率が高過ぎて震えた…
  • 出演者の歌唱力の高さにも震えた……
  • ミッドフォードファミリーが理想的でございました。特にリジーがもんのすごく可愛くて、出てくると周りがパッと明るくなる。秘密を明かしたところもかわいくも切なくて、こないだ原作を読み返した時同様、ちょっとうるっと来た。
  • 「DIE(大)航海DEATH☆」のグレル登場シーン、見事な存在感で場面をかっさらってくれた。今回リアルで観るのを楽しみにしてた一人でした。
  • 楽しみにしてたもう一人、ヒデイットもといドルイットも、2幕のフェニックスオンステージが最高にキラキラしくてうざったくて最高(絶賛してます)。パンフ裏表紙の見開きで吹いた。フェニックス!!!
  • アバハンが出てくるとほっとする。安定感半端ない。しっかり笑わせていただきました!
  • セバスチャンは「執事」ということがちゃんと出てる。シエルに従っているときはあくまで従僕として出しゃばらず、でもメインになるシーンでは華々しく活躍。前回のサーカス編ではセバスチャンの戦闘場面は少なかったから、アクションシーンがたくさんあって嬉しい!
  • アクションと言えば死神コンビと葬儀屋も。全員武器の形状が違うし、セバスチャンに至ってはほぼ素手だから間合いも難しいだろうに綺麗に決まってて、もう拍手を送るしか
  • シエルはサーカス編の時よりも歌声がよく響いてた…!
  • ロナルドがコミックスそのまんま過ぎた
  • スネークの蛇の演じ分けが楽しい
  • 毎回感嘆するしかない葬儀屋の人外感。デスサイズが似合いすぎる。最後の方でシエルに渡してた物が何だかわかんなかったので、原作読み直して確認。遺髪入れだったのね
  • 演出家が変わっても生執事らしさは全く損なわれず。映像を使う場面が多かったかな。水の描写が綺麗でした。1階席後方のセンター付近に座ってたんですが、1幕の、ビザール・ドールに襲われたシエルが過去のことを思い出すくだりで、頭上を赤い布が通り抜けていく演出が斬新だった*1。リアンの最期のとこは少々笑いそうになったけど(汗)
  • ビザール・ドールのアンサンブルの動きが不気味なんだけど同時に美しくもあり。全体に美しさとグロテスクさのバランスが良かった
  • ラストが暗くない、と言うかいわゆる大団円なのって私が見たことのある生執事では初めてじゃないかしら
  • 観劇の少し前に雑誌でコミックス26巻の後半部分の話を読んでたので、それを踏まえて観ると、2幕の、シエルとセバスが出会った直後の場面がいろいろ感慨深い

 

カテコの日替わり挨拶はリジー。心の準備が整う前だったのか*2「演じてる本人は黒豆と梅干でできてるので……」「明日は今日よりも更に……明日は休演日ですけど」などしどろもどろになってしまい、セバスチャンに「黒執事は10年続いてますが、こんなに笑いをさらっていった人は初めて」と突っ込まれておった*3。そんな中で隣のエドワードお兄様が「大丈夫、がんばれ」と言ってるみたいに笑顔で何度もゆっくり頷いてたり、フランシスお母様も「しっかり……!」と激励するように軽く拳を握ってたりしてて微笑ましかった(アレクシスお父様は席の関係でよく見えなかったけど夫婦で顔を見合わせてたりしてたような)。

豪華客船編のストーリー単体だとセバスチャンとシエル以外のキャラの描写が少々薄いので*4、原作かアニメ、もしくは過去の舞台を知らないとちょっとノリ切れないかも?とは思ったけども、最初の出航のシーンからラストまで、これぞミュージカル!な華やかさにあふれた舞台でした。

新年最初から、そうしたいと思う作品でスタオベすることができて幸せ!

 

*1:ちょっとわかりにくいかもですが、両側の通路からアンサンブルキャストが大きな布を間の客席の真上に広げて、後方から舞台に向けて走り抜ける、というもの

*2:「自分の振り方が悪かった」とセバス@古川さんも反省してた

*3:発言はうろ覚えなので微妙に違ってるかも

*4:例えばリジーは何も知らない能天気なお嬢様、という描かれ方をしてたからこそ、ここで明かされるエピソードが響くわけで

【観劇記録】2017年下半期ざっくりまとめ

上半期分はこちら。

raimu-sakura.hatenablog.com

 

  • ブログに感想をアップしてないものも含め、ざっくり振り返り
  • ネタバレ多少ありです

 

7月

感想はこちら

美の暴力とはこのことか。自分でもびっくりするくらいハマってしまった作品のひとつ。

 

8月

  • 髑髏城の七人 Season鳥

ワカドクロの印象が強かったので、あちこちで個性炸裂しまくりの前半は「髑髏城ってこういうのだっけ???」と戸惑ってしまったんだけど、後半は素直に面白かった。もう一度観たら印象変わったかも。天魔王と蘭兵衛の殺陣はもはや異次元でした……。イメージと違い過ぎて戸惑いまくった捨之介も、セリフ回しや身のこなしは絶妙。兵庫の身内ポジションはワカや月の方が好みではあるけど、このバージョンもなかなか面白い。粟根さんの渡京良かったな。カナコさん生駒かっこいい。沙霧がかわいくて身軽でかっこよくてかわいかった。

感想はこちら

楽しかった―。

邪馬台国は衣装が素敵でした、以上*1!ショーの方はワインをテーマにした作品で、衣装、曲、構成ともかなり好み。お芝居の方で失われたHPがショーで回復されたよ、ほんと……。

歌舞伎座にて幕見。並んでる時に「桜の森の満開の下」と「夜長姫と耳男」を読んでおいたので、あの場面はこういう風になるのかー、などと興味深かったんだけど、セ・巻物?蟹のメリーゴーランド??缶を蹴ると鬼がどうしたって??とかだんだん訳がわからなくなってきた。なのに、最後の場面では胸が締め付けられて涙が出てきた。訳も分からずに泣く、という経験はこれが初めてかも知れない。夜長姫の最後の台詞が今もなんとなく耳に残ってたりもする。最初から最後までとんでもなく美しい舞台でした。

 

9月

柿澤月の方を観劇。全体的に思ってたより落ち着いた雰囲気だった。映像をふんだんに取り入れた演出が面白かったです。リュークとLがそのまんま過ぎてびっくりした。レムはマンガとはずいぶん違うけど美しくどこか儚げで、こちらはこちらで良かったな。

 

  • 宝塚 月組公演『All for One』

ザ・王道ど真ん中で楽しかった。当て書きが完璧でお話にも無駄がなく、イケコ先生久々のオリジナル作品に唸らされた。珠城ダルタニアンのこれ以上はそうそうないんじゃないかっていうくらいのハマり具合に加え、愛希ルイ14世(ルイーズ)の可愛いさと、美弥アラミス&月城ベルナルドの美しさにもやられっぱなしでした。宝塚ならではの華麗な殺陣も眼福。

 

10月

感想はこちら

終演後の多幸感が下半期トップ(上半期は薄ミュ)。ブロマイド(写真だったかも)がどれも素敵過ぎて選べない、いっそトレブロないの?などとよくわからんことを考えていたのは内緒*2

 

11月

  • 宝塚 宙組公演『神々の土地』『クラシカル ビジュー』

神々~は作品自体が「これ、宝塚?」ってくらい衝撃的だったんだけど、同時に非常に宝塚らしくもあり。マンガ*3や小説*4などで比較的なじみのある時代だったので、それほどとっつきにくさはなかったな。特に任官式のシーンと、ラスプーチン暗殺の銀橋~大階段の演出は見事だった。イリナ役の怜美さんがとにかく美しくて、ジナイーダ@純矢さんの「美しいものを見ることには価値がある(うろ覚えすみません)」に全力で納得。愛月さんのラスプーチン、凜城さんのアレクサンドラの迫力にも圧倒された。

  • 吉例顔見世大歌舞伎 夜の部

頂き物のチケットで、普段自分では選ばないような演目だったんですが、お話がシンプルだと登場人物の感情表現もストレートでわかりやすく、「大石最後の一日」では泣きそうになったりも。食わず嫌いはもったいないね。歌舞伎座建て替え後、初めて幕見じゃない席だったので、ロビーをうろついたり、売店のたい焼きを食べたりできて、そういうのも面白かった。

 

12月

感想はこちら

舞台そのものがよかったのはもちろんのこと、目当てだったキャストの方々の実力を改めて目の当りに(プラス、魅力も再確認)することができて嬉しかった。それと、自分は髑髏城の作品自体がすごく好きだったんだなー、とちょっと驚いたりも。全く雰囲気が異なるという上弦も気になる。

  • 宝塚 星組公演『ベルリン、わが愛』『Bouquet de TAKARAZUKA』

ベルリン~は安心して観られる良作。若手の作家の演出は全体にスタイリッシュでいいな。タカラジェンヌの20世紀初頭のファッションの似合い方は何事なんだろう。ショーは往年の名曲揃いなのはいいんだけど演出まで古いレトロに寄せ過ぎなくても……と思っちゃったのは否めず。大詰め、大階段の3組のデュエダンは素直に見とれたし、お久しぶりの凪七さんの歌声にも聞き惚れた。

感想はこちら

速報メモとしたけど、実質メインの感想だったりもする。書ききれなかった分は後で刀ステ全体の感想としてまとめて書くかもです。 

  • 十二月大歌舞伎 第二部

急に思い立って幕見。観劇予定のない時よりある時の方が、幕見や当日券に並びたくなるのはなぜだろう。落語が題材の「らくだ」は事前に聞いてた通りコントみたいで、笑いどおしでした。「蘭平物狂」は後半の立ち回りがアクロバット的な技の連続で、しかも場面場面が浮世絵みたいに綺麗に決まって格好よかった。

 

 

数えてみたら、2017年は複数回観たものも含めて30回、劇場に足を運んでました。ここ数年では断トツの最高記録で、過去に演劇にハマってた大学生時代をもおそらく上回ってる(当時は使えるお金も少なかったし)。宝塚の観劇回数は去年とほぼ同じなので、他が増えたんだな……。

増えた要因はというと、やっぱり2.5次元の作品を中心に、若手の俳優さんが多く出ている舞台を観に行くことが増えたからかと。アマテラスやグランギニョルも、刀ステや生執事を知らなければ多分行ってなかったし。しかし、特に2.5次元だと新しい演目の度に反射的にパンフレットを購入してしまうため、本棚がきつくなってきたのはそろそろどうにかしないとな……。

 

ともあれ、2018年もまた、素晴らしい舞台にたくさん出会えますように。

 

*1:あれを遥かに上回るという雪組の別箱の某作はどんなだったんだ一体

*2:結局パンフだけ買った

*3:オルフェウスの窓

*4:「冬の日の幻想」というBL?小説で、ユスポフとドミトリーのガチ恋愛もの

【観劇記録・速報メモ】12/15 舞台『刀剣乱舞』ジョ伝 三つら星刀語り

・初日ソワレのざっくりとしたメモのような感想のようなもの

・致命的なネタバレは避けるか文字色を薄くしつつ多少バレあり

 

劇場もしくはライビュ等で観劇予定の方は、義伝同様、一切ネタバレ無しで観劇されることをお勧めします(のでこのエントリも回避を強く推奨)

 

 

発表時、東京公演の日数の少なさに何度も公式サイトを確認したのは自分だけじゃないよね……。円盤最速先行で何とかチケットは入手したものの、刀剣男士キャストのビジュアルや人間側キャストの詳細もなかなか出て来ず、キービジュアルに至っては出たのが当日だったりと、いろいろとやきもきさせられた今回の刀ステ新作。

 

 

 

 

構成の面白さについては、これまでで一番かも知れない。

義伝も複数のグループの話が同時に進行していって、それぞれがしっかり関連し合っている、という凝った作りでしたが、ジョ伝はそれともまた違う驚きが待っておりました。タイトルのジョ伝って「序章」って意味と、他にもあるんだろうな、何だろうくらいは考えてたけどさ、そう来るか!と。

まさか、ふたつの「ジョ」伝とは思わなかったよ?!

直前に「パンフレットの表紙がネタバレ」と公式からのアナウンスがあったので、幕間に購入して、トレブロで真ん中あたりに蓋しておいて正解だった。表紙に写真が載ってるとかの類いじゃないけど、察しのいい人は見たら仕掛けに気づくだろうし*1

 

以下、つらつらと箇条書き。

  • 1幕で違和感を覚える場面がちょいちょいあるんですが、2幕に入るとあれやそれはそういう事かー!と腑に落ちた。開演前に周りの席から「前半笑えるところが後半笑えなくなったり、その逆だったりするらしい」みたいな話が聞こえてきて、観終わって納得。
  • いやでもあのシーンは前半でも後半でも普通に笑ったけどね!障子開けてさらーっと出て来て去っていくあいつら!
  • 1幕終盤のアレ……本気で血が凍ったんですけど!!
  • どうしてあの場面の直後にそうなったのかは、ゲーム未プレイだとわかりにくいかも?
  • 1幕終わった時点で既にお芝居一本分観終わったくらいの感覚が……
  • オープニングは六振しかいなくてどういうこと?ってなってたんだけどそういうことねー……うわあ
  • 前半はとにかくどんよりしていて、いつもの本丸の雰囲気と違うなー、と思ってたんだけど、後半は「いつもの本丸」の空気になっていて、演技と演出でこうも変わるんだなー、と感服。こういう変化の面白さは舞台ならではだよね。
  • 出陣の儀は今回はなし。それと、明らかにそれっぽい日替わりのシーンはなかったので、今回はないのかも?
  • 特にスポットが当たってたのはまんばちゃんと山伏と長谷部。前半は山伏、後半は長谷部が強いかな。
  • この回のオープニングのログボは長谷部でした。
  • 山伏さんがとても山伏さん。小田原城のときも思ったけど「カッカッカッ」がゲームそのまんま。豪快で明るく、頼もしい兄弟刀だったよ!しかしネーミングのセンスは……うん、よくやった。
  • だぬだぬたぬきさあ……「ばみ」「まんば」「へし」って呼び方なんなのよ心拍数上がったじゃんよ!例の台詞で「倶利伽羅みたいなこと言うな!」って突っ込まれてたのは笑うしかない*2。かと言って伽羅ちゃんとは全然違う種類の孤高を醸し出しており、まさにザ・無骨。
  • 骨喰は美人さんでした。たぬきのことは「正国」呼びなのね意外。小夜ちゃんのことは「小夜さん」って呼んでる?それとも小夜さ、みたいな呼び方??そして何故かまんばちゃんにさん付で呼ばれて敬語使われておる。
  • 日本号さん、表情や仕草が色っぽい
  • ソハヤの明るさに救われる
  • 博多君かわいい、ほんとかわいい。博多→山伏の「筋肉さん」ってのすき*3
  • 三日月じいちゃんも声と映像で出演しておった*4
  • 人間キャストは今回も良かった。特に弥助の殺陣のキレがよかったな*5
  • 確かに、時間遡行軍と刀剣男士の存在に気づいてる人間がいてもおかしくないよなあ……。
  • 来るかもと思った小夜ちゃんの極。絵で見るよりかなり重装備っぽくなってたけど、地を這うようだったこれまでの殺陣に比べて、上半身の動きが華やかになってて修行の成果を感じさせられた。
  • 長谷部、よかったね(目元をぬぐいつつ)。前半の言葉だけでも十二分に嬉しかっただろうに、後半で更に……そりゃ魂も抜ける(笑)。ラストの笑顔はまさにプライスレス(昇天)
  • 真剣必殺はもちろん黒田組。博多と日本号の出番が後半から、かつ長谷部以外はそれ程悩んだりしていないこともあり、前2作程のカタルシスはなかったんですが、殺陣は今回も全員めちゃくちゃ格好良くて痺れた。長谷部については前の主に対する鬱屈とか、諸々のマイナスの感情が吹っ切れた感があり、圧巻でした。なんだけど……BGMの「チャチャチャ」って合いの手みたいのはナニ?!そこだけ妙に気になっちゃったじゃんよ。
  • まんばちゃんは流石の安定感。それでも前半と後半では雰囲気が全然違う。着実に成長しているんだな。ざいきっちゃん@小田原に続いてまた「綺麗」って言われてた。

 

自分の好みは、推し刀だらけ+全体に重めの義伝の方だったりはするんですが、全く違う雰囲気のジョ伝もすごく楽しかったです。過去を吹っ切ったり、折り合いをつけたりする刀剣男士たちの姿が観ていて気持ちよく、終演後の気分がとても爽快でした。エンディングもこれまでとは異なる路線の、軽快なナンバー。刀ミュの漢道ばりの華やかさ*6で、全員で交互に傘を開いたり閉じたりする動きがあったり、アンサンブルの皆さんも後ろで踊る踊る。登場する刀が違うとこうも変わるんだなー、と新鮮な気持ちでした。それにしてもエンディングの曲が毎回好きだ。

今回敢えてあまり書いてない部分で驚く事実が明らかになったりもしてたんですが、なにぶんいっぱいいっぱいで、記憶違いもあるかもなので……。その辺りは千秋楽ライビュの後にでもまた書こうかと。

*1:ちなみに裏表紙もネタバレ

*2:多分観客の95パーセントくらいそれ思ったんじゃないか

*3:ステ本丸の短刀たちはちょいちょい面白い呼び方するのがいい。不動の「まんばちゃん」とか薬研の「小夜すけ」とか貞ちゃんの「之の字」とか

*4:中の人?は豊洲の回るお城で金の甲冑着て関東髑髏党率いてるからねー。奇しくもどっちも天正十八年。

*5:グランギニョルのダミアンの人だよね

*6:もちろん曲調は全く違う

【観劇記録】12/2 髑髏城の七人 Season月 下弦の月

・記事の後半あたりからネタバレありの感想です

  

【前置き】

劇団☆新感線の舞台は何度か観ていて、髑髏城の七人もサンシャイン劇場でやってた頃のをかなり昔に映像で、ワカドクロをゲキシネで、今回のもSeason鳥を8月に観ておりましたが。天魔王の人外じみた存在感と、蘭兵衛の艶やかさと殺陣の技術等々に圧倒されまくった鳥髑髏の観劇から約一週間後、衝撃の発表が。

 

「Season月は2チーム制で、うち1チームは捨之介が宮野真守さん、天魔王は鈴木拡樹さん*1で、木村了さんと松岡広大さんも出るよ」

( ゚д゚)

 

ちょうどお昼時で社食でスマホ見てたんですが、周りに普通に人いたのに「はい?」って声出たよね……いや待って新感線、それも髑髏城に鈴木さんってまじですかしかも主演がマモとかうわあああチケット取れるのそれ、ねえ?!と、午後も気づくとそのことばかり考えまくっていたことをここに告白します。元々好きな劇団の好きな演目に、刀ステと帝一舞台とナルステの、それも三日月宗近と帝一とナルト役の人が出ると知って落ち着いてなんていられる筈ないじゃんよ*2!普段はあまり読まないインタビューの類にも目を通しまくったりして、期待度が上がりまくったまま観劇日を迎えたのでした。

 

【ここから本題】

公式のあらすじだとちょっと固い内容に感じるかもですが、お話自体は王道の少年マンガ的。お叱り覚悟で超大雑把に言えば「天魔王という悪い奴がいて、主人公の捨之介と仲間たちでそいつを倒しに行く」ってことさえ押さえておけば取り敢えずOKです。

衣装や舞台セットがおそろしく豪華、一対一はもちろん大人数の殺陣も迫力があり、笑っちゃうシーンも多く、座席エリアが回り舞台みたいに回り、幕の役目も果たす巨大スクリーンの映像と連動した演出は見たことのないダイナミックさ*3で、額面だけ見ると高価なチケットも、そりゃこのくらいするよね!と納得。終始圧倒的に華やか、かつアクションシーンも盛りだくさんなので、特に殺陣の多い2.5次元の舞台をよく観る人なら、ほぼ確実に楽しめる演目じゃないかな。シーズンごとの違いや劇場自体の特色などについては、公式サイトなどを参照いただければ幸いでございます。

 

で、今回の「下弦の月」がどうだったのかというと、

端的に言ってすっっっごく面白かった。

脚本演出とキャストが自分のツボに完璧にハマったようで、1幕終了の直後「こういうのが観たかったのーーー!!」と内心で叫びまくっておりました。

サイド席だったものの前回観劇時よりかなり前の方で、オペラグラスなしでも役者の表情がわかる距離だったのもあるかもですが、髑髏城でちょっと泣きそうになるなんて思わなかったよ。

 

以下、キャストや場面ごとに。

 

※ここからネタバレ有りです

 

・捨之介には、その場にいるだけで周りが明るくなるような華やかさがありました。立ち回りも長身が映えてかっこよかった。前半、台詞回しがちょっとクサいかな?という箇所はあったけど、ただ明るいだけじゃなく、過去には並の人間には耐えられないような地獄も経験してきたんじゃないか、と思わせる何かを感じた。天魔王を殺す!と息巻く霧丸を止めようとした時の真剣さはそれ故で、かつて自分自身が通った道だからこそ、あの状況の霧丸にもちゃんと伝わったのかなー、などと想像が広がる広がる。霧丸と一緒にいる時のお兄ちゃんっぽさが微笑ましかった。

・天魔王はすごく人間くさかったです。今まで見てきた天魔王は道を踏み外して人を超越しちゃった存在、というイメージが強かったんだけど、オープニングに「天魔王」と呼ばれるようになった時のエピソードが加わったこともあり、彼もまた、野心家で計算高く、それでいて嫉妬に狂ったりもする一人の人間なんだなあ、と。と言っても全身からみなぎる威圧感や、2幕の最初の方で蘭兵衛に斬りかかられた時の心底嬉しそうな悪い顔、殺戮シーンでの残酷さ、などなどの迫力は凄まじかった。殺陣は大きさと勢いがありつつも正確無比で美しく、一方で遊び心のようなものがカケラもないあたり、実直真面目で超有能だけど遊ぶことは上手くなさそうだなー、捨之介みたいなタイプは嫌いだろうなー、なんて事も考えたりして。最後の戦いで、身に纏った大きな鎧を次々と剥ぎ取られていく、という演出も良かった。

・蘭兵衛は、男性的な色合いが強かった。こちらも、どこか妖のような気配の漂っていた他のバージョンの蘭兵衛より、生身の人間っぽさを感じました。殺陣は、前半は速さと正確さ、力強い一撃で確実に殺る!といったところ。天魔王もそんな系統(ただ、より動きは大きい)だったから、どちらもかつての主の影響をどこかしら受けてるのかもね。後半の襲撃のところでは、わざわざ相手に恐怖を与えるような凄惨な殺し方を選んでいて怖かった。蘭兵衛は行動原理がいまいちよくわからない人、というイメージだったんだけど、今回思ったのは、その時々の自分の美学に忠実なのかな、ということ。「今自分が美しいと思うこと」だけが重要で、過去どうだったのかとかはどうでもいい、というような……自分で書いててだんだんわかんなくなってきましたすいません。極楽太夫との関係は「強い信頼で結ばれた同士」なのかな?と。太夫の側にはそれ以上の気持ちがありそうだけど、蘭兵衛はわかっていつつ応えてはいないんじゃなかろうか(でも多分まんざらではない)。1幕ラストの、白い花が咲き乱れる中での殺陣は感嘆ものの美しさ。

 

とっくにバレてるとは思いますが、天魔王と蘭兵衛大好きです。夢見酒のくだりとか目玉かっ開いて凝視してたに決まってるじゃないですか。

 

続き。

 

・兵庫がとても良かった。學蘭歌劇の帝一を演じてた人が、あの向こう見ずでなんだかんだいい奴で愛すべき馬鹿の兵庫を?と、ちょっと意外だったんだけど、舞台上にはまさに向こう見ずでなんだかんだいい奴で愛すべき馬鹿の兵庫がおりました。荒武者隊のメンバーが惚れ込むのもわかる。太夫に振られるところで汗のことを言われてたけど、そんなに汗臭くはなさそうかな?台詞回しのテンポが良く、飛んだり跳ねたり飛び蹴り食らわせたりの戦闘場面も見ていて小気味よい。無界屋襲撃の直後のシーンが哀しかったのも、若い分、よりダイレクトに悲痛さが伝わってきたことがあるかも。ラストの太夫とのやりとりが微笑ましかった。

・発表時、少年に変わってて驚いた霧丸*4。想像していたよりは大人びていて、少年と青年の狭間にいる、といった趣きでした。霧丸も、戦闘シーンのアクロバティックな動きが見もの。捨之介との関係は年の離れた兄弟みたいで、少女から少年になったことで、より作品全体が少年マンガっぽくなった気がする。正体を明かすところは少女の方がより劇的だけど、こちらは皆の前で口に出したことで、より強く「自分がそうであること」を自覚したような印象を受けた。

・極楽太夫がかわいい、というのを聞いてどういうこと?と思ってたら、確かにかわいかった。粋で気風が良くて情に厚い、素敵な大人の女性ならではのかわいさ。元々兵庫より遥かに精神年齢高そうだけど、それにしてもかなり年が離れてるよな……などと考えていた私が浅はかでございました。あの太夫になら惚れる。最初の方で兵庫を振るところの台詞回しがいかにも新感線っぽい。後半のカチコミの衣装も綺麗だけど、登場した時の花魁姿が美しかった。

 ・贋鉄斎はそう来たか。笑いっぱなしだったじゃねえか。最初の方でウィッグが取れてしまうアクシデント?があったんですが、すぐに笑いに変えておられて流石。ところで雅って言いだした時に某文系刀が浮かんだ審神者はあの場にどのくらいいたんだろう。

・サラサラストレートロングヘア+眼鏡でうさんくささ全開の渡京。この人の登場シーンも大体笑ってた。髑髏城から逃げてくときのあれはもうすごいとしか。

・お兄ちゃんだったり息子だったり色々の兵庫の身内ポジションはそうなったか。しかし名前がいん平ってどうなんだ。初見だとまさか後半ああ来るとは思うまい、ふふふ。敵の中ボスの爪月のとこ……実はお前もかー!ってなったよね(笑)

・生駒さんがちょっと色っぽい。潔癖らしい。いろいろ大変だった剣布さん(合掌)

・狸穴二郎衛門なあ……何か書こうとすると全部ネタバレになるんだよなあ……

 

正直なところを言うと、他の舞台で素晴らしいお仕事を見せてくれた人たちであっても、新感線初参加、かつ比較的若手の方々ばかりであることは確かなので、観る前はどこかに心配な気持ちがありました。けれども実際に幕が上がってみたら、瞬時にしてお芝居の世界にのめりこんでしまい、純粋にこの演目を最初から最後まで楽しんでた。特に素晴らしいと思えたのは捨之介と天魔王、兵庫、極楽太夫でしたが、他のキャストも文句なしに良かったし。クライマックスの「七人」が揃うところ、ちょっと泣きそうになったよ……。

下弦の月の幕が下りた時*5に自分の中にあったのは、最初に太字で書いたように「すっっっごく面白かった!!!」という気持ちでした。

 

つらつらと書きましたが、もし、この記事をここまで読んでくださって、ちょっと興味はあるし平日ならまだチケットあるみたい(※12月上旬現在)だけど高いしどうしよう、と迷われている方に向けて私が言いたいことはこれに尽きます。

観ないのはあまりに勿体ない。高くても決して損はしないから、是非観て。

 

追記

上弦の月ライビュ感想はこちら

下弦の月ライビュ感想はこちら …ほぼ捨之介と天魔王と蘭兵衛について

 

*1:実際は第一報では役名まで把握できてなくて、この位置に名前出てるってことは蘭兵衛の可能性も?どっち?って動揺してた

*2:廣瀬智紀さんは、この時点では名前だけは知っていましたが、映像含めちゃんとお姿を拝見したことがなかったのでした

*3:座席は『キャッツ』のオープニングみたいな感じで動きます。映像は無理やり例えるとしたら若干マニアック?ですが、国立科学博物館のシアター36◯が近いかな、と。流石に360度映像が映し出されるのではないですが

*4:他のバージョンでは沙霧という少女で、捨之介との間にラブっぽい要素もあったりする

*5:あのスクリーンは下りないから正確には閉じた時だけどまあいいか

【雑記】「2.5次元舞台にようこそ」読みました

告知らしきもののあった2か月くらい前から楽しみにしてた本。

 

!以下、多少本の内容に触れてます!

 

2.5次元舞台とはそもそも何か。様々な解釈があるが、本書においては云々とする」……というような、いわゆる固い内容の本ではないです。去年の美術手帖2.5次元特集みたいなものを想像してたので、最初は「ちょっと軽くないかな?」と戸惑ったけど、過去に著者自身の手掛けたインタビューの内容がどれも興味深く(特にペダステにまつわるエピソード)、シリーズで上演され続けている作品の紹介も少々駆け足気味ながら多岐に渡っており、全体に楽しめる内容でした。

惜しい点は主に2つ。

・写真がとても少ない

テニミュ、ペダステを中心にたくさんの作品が紹介されており、2.5の舞台に多く出演している方々のインタビューも盛りだくさんなのに、それらの舞台や俳優さんの写真がほとんどない。おそらく色々と制約があったのでしょうが、カラーは難しくても、せめてモノクロの写真は欲しかったな、と思わずにはいられなかった。

刀剣乱舞の項が……??

俳優さんの項で刀ステの演技について触れているし、刀ミュ(みほとせ)観劇のために海外まで遠征されているくらいなので、きっと面白いお話が出てくるだろうと期待していたのですが、表面的な解説と、なぜか原作ゲームの展開の説明に終始してしまっておりました。珠海行のコラムはとても面白かったけど、公演の内容自体にはほんの少ししか触れられていなかったし。意図的にそうしたのか、他の理由があるのかはわかりませんが、刀ステと刀ミュ、それぞれの魅力や見どころなどを筆者の解釈で読んでみたかったので、そこは残念。

それと、過去のインタビューが複数引用されているので、それらを読んだことのある人だと既に知ってる内容が多いと感じるかもです。結構有名と思われる俳優さんでも名前が出てこなかったりするし。ただ、本の性格上その辺りについては致し方ないかな、と(有名どころを余すことなく、しかも平等に取り上げる、なんてまず無理だし)。

 

いくつかマイナスな面を上げてしまったけれど、最初にも書いたように、全体的に読んでいてとても楽しい本でした。

その理由は多分、筆者の2.5次元舞台への愛がこれでもかと感じられるから、ではないかと。

例えば、テニミュ、ペダステ、刀ミュ、刀ステ以外にも、現在シリーズ化されている作品がざっくりと紹介されているんですが、時々ちょっとマニアックな観点だったりするんですね(笑)。茶化してる調子では決してないんだけど、薄ミュでピンポイントで挙がってるのが沖田編の「〜兄妹〜似ていないかい」とか……敢えて触れるのがそれ?! と言いつつ、私あのシーン大好きだし、「見所はカッコいい殺陣です!」とあるよりも「演歌調の歌もあって……」の方ががぜん興味をそそられるのもまた事実(※個人の感想です)だったりもするし。

2.5以外にも長年に渡って膨大な数の舞台を観劇されている*1とのことなので、演劇のジャンルとしては低く見られがちなことについてとか、今後の課題とか、プラスではない面も掘り下げようとすればできたのかな、とは思います。

けども、そういう面には(おそらく敢えて)触れておらず、終始一貫していたのは「2.5次元舞台って面白いよ!こんな作品があるんだよ、こんな人たちが演じてるんだよ!」という想い。まるで著者自身が目の前にいて、次々とマシンガントークを繰り広げているようでした。その熱量にちょっと圧倒されつつも、こんなにこのジャンルをよく知っていて、愛している人がこの本を出してくれたんだなー、と考えるとなんというか嬉しくなった。

今まで、「幅広く舞台ジャンルを扱っている」と謳いつつ2.5次元は別枠扱いな紙メディアやネットコラム*2や、他のジャンルの話だけど「今の人たちも頑張ってるとは思うけど、◯◯さんたちの時代には及ばない」「所詮このジャンルは△△(よりメジャーで世間的に「格上」とされる近似ジャンル)には敵わない」といった類の、懐古厨ご意見番と呼ばれる人たちの「この人ほんとにこのジャンル好きなのかな? そういうのは自分のブログでやってください、てか何でこんなライターに記事書かせたよ編集部……」てなあれこれを散々見てきたからさあ……。

「このジャンルを徹底的に総括する!」というような仰々しいものではないし、もの足りなかった部分もあるけれど、ひとりの2.5次元舞台ファンとしては、「はじまりの一冊*3」がこの本で良かったな、と思えたのでした。

*1:年間300近いこともあったとか。マチソワしまくってフェスやコンクールの短い演目を続けて鑑賞したりすれば可能だろうけど、それにしてもものすごい数

*2:ムカつきはしないけどもやっとはする。自分自身去年までは似たようなものだったけど

*3:※冒頭の「はじめに」より