3次元別館。

主に観劇の感想です。2.5舞台が多めでその他のミュージカルやストレートプレイも。

【観劇記録】2017/04/27,29 ミュージカル『薄桜鬼』原田左之助 篇(薄ミュ)

  • 語彙が不足気味の感想です

薄桜鬼は数年前にPSP版をプレイして、沖田ルートと斎藤ルートのみエンディングまで見たものの、他にやることができてしまったりで放置してしまって(ストーリー自体は面白かったしスチルはとにかく美しいし沖田ルートはちょっと泣いたりもした)たんですが。

今年のお正月のスカパー無料放送日に薄ミュの沖田篇が放映されるということで、そう言えば今年の春に新作やるんだっけ?刀ステに出てた役者さんも過去作品に結構出てるみたいだし、演出も生執事の人だし見てみよう→視聴後公式ツイッター即フォロー、沖田篇のライブCDも購入してヤイサ*1を聴き倒す→チケット確保後、数年ぶりにPSPを引っ張り出して左之助ルートをプレイ→満を持しての観劇でした。

初めて訪れたAiiA2.5、どんなにアレなのかと思ってたら覚悟していたほどのストレスは感じず。建物は見事なまでに仮設だし、音響は最初酷いと思ったけど、慣れてくればそんなに気にならないし、照明は普通にきれい。後方+センター寄りの席は見やすかった。椅子もK伊國屋ホールとかYーロスペースに比べたら快適だよね(いろいろ思い出しつつ)。ただ、自分の時はなかったものの、外の音が観劇中に聞こえる、というのは何とかしてほしいね……。

念のため多く申し込んでおいたチケットが両方とも取れていたので、今回は27日、29日のソワレの2回観劇。同じ演目を2回観ることは(実は)あまりないんですが、1回目に見逃したポイントや演技の変化もわかるので良いですね(財布は軽くなるけど……)

 

で、迎えたマイ初日。

目まぐるしい。目が足りない。

そして目が幸せ。

とにかく展開が速い。原作ゲームの1ルートが結構長い上に、メイン以外の隊士のエピソードもふんだんに盛り込まれており、加えて殺陣とダンス(っぽい殺陣)の連続だから息つく暇がない。殺陣も1対1のはともかく、乱戦だと複数の場所で隊士と敵やら鬼やらが刃を交えてるから、左之助見たいけど平助も見たいしあっちでは新八が戦ってるしこっちでは総司も……と、目が彷徨いっぱなし。ストーリーは少々詰め込み過ぎでひとつひとつのエピソードが薄まってしまった感があるし、歌は正直なところ千鶴ちゃん(と、風間千景も)以外は、比較的良い人でも「悪くはないけど……伸びしろはあるんじゃないかな」だったという点はありました。

などと言いつつ、美しいデザインの和装や軍服を翻しながらの刀に槍に銃、体術での戦闘は見どころしかなく、二次元の世界から登場キャラクターたちが束の間顕現したようで*2、ほぼすべてのシーンに終始打ち抜かれっぱなしでした。冒頭、千鶴が新選組にやって来て隊士たちがほぼ勢ぞろいしたところで「うわー薄桜鬼だ……!」って息を呑んだよね(この場面の千鶴ちゃんのソロの曲すごく好き)。なんなんだろう観終わった後のこの多幸感は……。今もまだ気を抜くとヤイサと左之助のテーマと千鶴ちゃんのテーマと左之助VS不知火の曲が頭を流れ出すというやられよう。

 

今回の主人公の左之助

めちゃくちゃ格好よかったです。長身を活かした槍さばきがすごく映えて決まってた。左之助はよくも悪くも昔ながらの「漢」で、女は男に守られているもの、って価値観は今どきどうよ?とゲームやってる間も思ってたんだけど、このルートはそういう話だと割り切ってみると*3、前半は隊士としての任務、後半は惚れた女のために戦うところが格好良すぎて痺れた。初見では千鶴ちゃんとそういうことになる場面で少々遠慮がちになっちゃってる気がしたものの、観劇2回目では抱き寄せる仕草が優しく愛おしげになってて、おおっ、と内心で拍手。ラストシーンで赤ん坊抱えておろおろしてるところもしっかりスチル通りで、微笑ましくなった。

ヒロインの千鶴ちゃんがまた、もんのすごく可愛くて。かなり小柄な方なのかな?左之助との身長差がえらいことになってた。歌声がとても綺麗だった上に声量もあったので、もっと歌を聴きたかったな。内に秘めた芯の強さと気丈さと、何より「左之助さん大好き!」が全身から溢れてて、カテコでも千鶴ちゃんのままだったりして、それはもう可愛いかった……!

敵と言うより好敵手の不知火もめちゃくちゃ格好よかったです。愉しげに踊っているかのような体術が見ていて気持ち良く、出てくる度に「来た来た!」とわくわくしてしまった。登場人物の中でも特に、あれ?私舞台見てるんだよね?と戸惑いそうになってしまったくらい、パッと見も一挙手一投足も不知火そのものでした。

隊士も一人ひとり殺陣が違ってて、土方さんは落ち着きがあって一撃が重そう。総司は舞うように軽くて華麗。一君は地に足のついた正確無比そうな剣捌き。平助は足技も駆使した身軽な動きで魅せ、新八は派手で豪快。山崎さんは静かな動きで確実に敵をしとめそうで、山南さんは殺気みなぎる達人の剣。近藤さんは豪放で力強い、といったところかな。

新選組だと個人的には、特に総司が台詞回しも立ち居振る舞いもすごく総司だったのと、殺陣が美しかった(まんばちゃんの時はそこまで強く意識しなかったんだけど、考えてみれば布被っててあの動きだった訳だし)のがツボった。

三馬鹿も平助はかわいいし新八はアニキだし、いざって時にはどちらも頼もしいしで、左之助と三人揃ってる場面が前半しかないのが残念だったくらい。原作のストーリー上しょうがないんだけども。最後の方、別れの場面の新八も、寂しさを漂わせつつの潔さが格好良かったな(なんかそればっかだけど格好良かったんだもの実際……)。

そして風間千景。ものすごくプライドが高く、人間見下しまくってそうなところがとってもちー様でした。殺陣も堂々としてて余裕綽々。宗三やドルイットの時とはうって変っての低い声。黎明録の土方さんを演じてたとのことだけど、どんな風だったんだろう。演じる役の幅広さに驚く。

天霧は淡々とした話し方の中に只者じゃないオーラがみなぎってたし、綱道さんも今回は堂に入った悪役で……冒頭にも書いた通り、最初から最後まで薄桜鬼の世界が舞台上にありました。

 

27日のカテコのあいさつでは、2年ぶりの薄ミュ出演となった山南さんの「ただいま」に対し、客席が「お帰り」と返していて、「薄桜鬼」というゲーム作品の舞台化であると同時に、「薄ミュ」としても長く愛されているシリーズだということを実感。取り敢えずは映像配信で過去作品を鑑賞しつつ、今回のライブ音源CDが出たらまた買っちゃいそうだなあ……。

*1:メインテーマ曲の「ヤイサ!ヤイサ!ヤイサ!」。割とそのまんま

*2:2.5舞台観た後は毎回そんなこと言ってる気がするけど、実際に目の当りにするとやっぱり感動する

*3:そういう価値観の昔のミュージカルの類、結構観てるからね……