3次元別館。

主に観劇の感想です。2.5舞台が多めでその他のミュージカルやストレートプレイも。

【観劇記録・ほぼメモ】2/3 舞台「文豪ストレイドッグス」

 

 

注意:この舞台が大好き!すべてに大満足!という方は回避を推奨します

 

 

 

 

先に書いておくと、出演者の演技には全くストレスを感じませんでした。特に、後述の何名かの方々は素晴らしく、この方たちを拝見できただけでも価値はあったってくらい。期待していた演出も映像とアナログを組み合わせた面白いもので、こちらも素直に楽しめました。

 

ただ、脚本が純粋につまらなかった……。

 

知っているエピソードが時系列に沿ってただずーーーーっと流れていくだけで、緩も急もあったもんじゃない。オープニングの乱歩のくだりが長かった(コンパクトにまとまってない、という意味で)点で嫌な予感はしたんだけど、前半終了後には既に死んだ魚の目になっていたので、後半は「お腹すいたなー終演後何食べようかなー」が意識の半分以上を占めておりました。空腹なんかすっ飛ぶくらい集中させてよ!隣の人なんて何回も欠伸してたし。原作ぶち壊しの改変が加えられていた、という類のものではないんだけど、だからと言ってそのまんまだらだらとつなげられても退屈なだけ。ところどころはさまれたギャグも演技で何とかカバーできてたけど、正直そんなに面白くなかったです……。以前この脚本家の別の舞台を映像で見た時も似たような感想だったので、あれだ、Not For Meってやつなんだろう。

 

良かったとこも書いておこう。出演者には他の舞台で拝見したことのある方も多く、演技面でのストレスはありませんでした。特に太宰治が素晴らしく、キービジュアルの時点で既に大正解の予感がしていたんだけど、登場の瞬間から「これは!」と惹きつけられ、見た目から立ち居振る舞い、台詞回しまで完璧でした。探偵社だと敦の身軽かつ緩急自在の身のこなしが見ていて気持ち良かったし、与謝野先生の見せ場がかっこよかった。超積極的なナオミも有りだな。ポートマフィア側は梶井基次郎中原中也が良かったんですが、特に中也、出番少なすぎるよ!

演出は、特にアンサンブルの方々のダイナミックな動きが面白く*1、このストーリーをよくここまで見られるものにしたな、と感心してしまったくらい。期待していた異能の表現は、スタイリッシュな映像*2と人力を駆使した見応えあるもので、特に、終盤の羅生門を連発する場面の布を使った演出は見事でした。

まとめると、演技★4~5、演出★4、脚本★0.5*3といったところかな……。観劇前から脚本には不安があったんだけど、演出と演技が良ければカバーできるかな、などと思ってたら見事に的中してしまった。原作に忠実ならそれでいいってもんでもないのね、ということを改めて認識。

 

*1:檸檬爆弾など、一歩間違えたらダダ滑りのギャグになってしまいそうなところもあり、ギリギリのさじ加減が絶妙

*2:シンプルな線で異能の名前と原稿用紙のマス目、場面によっては元ネタの作品と思われる活字が流れるように映し出される、というもの

*3:少なくとも不愉快になるような台詞や改変はなかったという点で