【観劇記録】2/18 ポーの一族(宝塚・花組)
・原作を観劇直前に読んだ宝塚ファン*1の感想です
・ストーリー、演出のネタバレあり
はいからさんや日出処の天子、摩利と新吾等々、70〜80年代ごろの歴史・ファンタジーものの少女マンガが好きな割にポーの一族は最後まで読んだことがなくて*2、復刻版の全5巻を観劇の前日に読了しました。絵柄もお話もとても美しく、もっと時間をかけて何度も読み返したかったな、と思いつつ劇場へ。
まず確かなことは、エドガーという美しくも哀しいバンパネラの少年がまさにそこにいました。現花組トップ・明日海りおさんの本公演の舞台は、月組の準トップ時代から全て観ており、演技も歌も申し分ない実力の持ち主だということはわかっているんですが、今回はいつもと雰囲気が異なっており、バンパネラの少年を演じている明日海さん、じゃなくエドガーそのものだった。最初に公開されたビジュアルを目にした時点で「完璧に二次元、というか私はどこの次元の何を見ているんだろう……」と呆気に取られてたんだけど、そういう、第一印象から寸分の狂いもなし!な時の予感は基本的に当たるもので*3。妖しく美しいのはもちろんのこと、「長い時間を生き続ける、人ではない存在」としての孤独と哀しさに終始満ち溢れておりました。最初に銀橋で「哀しみのバンパネラ」を歌ったところで既に涙目になりかけて、2幕の中盤くらいの、アランに完全に正体を知られてしまった後の銀橋ソロでしっかり涙。
妹のメリーベルもまた、愛らしくも哀しい存在、かつマンガそのもののビジュアルで、特に義理の両親であるポーツネル男爵夫妻とエドガーの4人で港町を訪れる場面は、公式サイトの写真を見た時点で「写真ってことはこの兄妹は三次元の存在?意味わかんないんですが」と混乱しまくってたんですが、リアルで見ても意味わかんなかったです。エドガーともども、もはや神がかってた。
娘役トップの仙名さんが義理の母親のシーラ、というのは、ポジションだけ見ると意外な気もしますが*4、義母といっても外見は二十歳だし、人形めいた美しさと生々しい色っぽさがバランスよく同居していて、こちらもベストな配役でした。
アランは初見ではちょっと大人っぽ過ぎる?と思ったけど、少々高飛車で生意気、かつ繊細な内面を無理なく表現されていた。そしてエドガーと並んだときのビジュアルのパーフェクト具合ときたら私の貧弱な語彙では語れる気がしないので、公式サイト等々の写真を見てください百聞は一見にしかず*5。
ポーツネル男爵も、いかにも貴族の紳士という品格があって良かったです。それと、超絶スタイル抜群のクリフォード先生と、笑顔の眩しいバイク・ブラウン(と、4世)の出番が思ったより多くて嬉しい。マーゴットもかわいかったな。
舞台全体の美しさについては全く心配してなかったけども、冒頭でバンパネラの一族が揃うところは想像の遥か上を行っており、口なんて当然半開きになりましたよね……。一幕が終わった後、「なにこれすごいいみわかんないすごい」って口パクで声に出さずに思わずつぶやいてたものね。
お話の方は、「ポーの一族」のストーリーをメインとして、マルグリット・ヘッセンやドン・マーシャルたちを語り手に据え、その前後のエピソードを語らせていく、という形で進行。舞台オリジナルの場面を盛り込むなど、多少大胆なアレンジやカットも施しつつ、限られた時間のなかでうまくまとめられているのではないかなと。さすがにオズワルドとユーシスのくだりが紗幕の向こう側でさらっと語られるだけで終わっちゃったのは「そんなにあっさり?」と驚いたけど。あと降霊会のとこがずいぶん長かったような。
他にも、展開や演出に多少のツッコミどころはあるんですが*6、見た目にお話に、全体的にすごく満足できた舞台でした。
チケットは全席完売していますが当日券はあるので、気になる人は是非。早朝から並ぶ必要はあるけど、その価値は十二分にあるっていうかむしろ安いから!あと千秋楽のライビュもあるから!
それから、今回は公演プログラムがいつにもまして豪華な仕様なのに、お値段据え置きの1000円なので、こちらの購入も強くおすすめいたします。