3次元別館。

主に観劇の感想です。2.5舞台が多めでその他のミュージカルやストレートプレイも。

【観劇記録】 1~4月の観劇まとめ(宝塚雪組/星組・薄ミュ風間篇・SPECTERなど)

 

このところ体調を崩したり、別件の書きもので切羽詰ってたりとなかなかまとまった文章を書く時間が取れなかったので、最近観た舞台(ライビュ含む)の感想をまとめて。

 

※多少ネタバレあります 

 

1月

  • 宝塚 雪組『ファントム』

トップコンビの美しい歌声に聴き惚れるばかりでした。こんな見事なお歌を5500円*1で聴けるって何事なんだろう……。特にクリスティーヌを演じた真彩さんはまさに「天使の歌声」で、登場シーンから既にそうなんだけど、エリックのレッスンを受けた後のビストロの場面での歌はそれよりも遥かに素晴らしいもので、その演じ分けに感嘆するしかなかった。後半はあまりにエリックのたどる運命が悲しすぎて辛くなってしまったんですが、全ての元凶のキャリエールも予想以上の好演でした。ベテランどころではコミカルさを前面に出しつつ迫力満点のカルロッタが素敵でした。

 

2月

  • 宝塚 星組『霧深きエルベのほとり』『ESTRELLAS~星たち~』

ストーリーそのものは単純と言えるし、正直古さを感じる部分はある。けれども終盤では涙が止まらなくなった。粗野で無教養だけれど繊細で心優しい船乗り、カールを演じた紅さんがそうそういないんじゃなかろうかというくらいのはまり役だったのはもちろん、カールと恋に落ちる良くも悪くもイノセントな令嬢、マルギット役の綺咲さんもそれはもう文句なしに可愛くて、観ているこちらに全く反感を抱かせなかったのは見事でした。ショーの方はドラマチックな盛り上がりはあまりなかったけど、ひとつひとつのシーンが丁寧に作られていて、飽きることなく楽しめた。この公演で退団の七海さんの見せ場がいくつもあったのも良かったです。二か月連続で、今のトップコンビ(と、各組の組子)だからこその演目を観ることができて嬉しい。

 

3月

  • ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』

  感想はこちら

 

  • ミュージカル『刀剣乱舞』 三百年の子守唄(再演)/ライブビューイング

村正と蜻蛉切の歌の力が半端なかった!演技の方も村正のエキセントリックさはやり過ぎにならない絶妙なバランスだったし、蜻蛉切もこれまたイメージ通りでした。元気いっぱいな物吉貞宗*2と、やさぐれ大倶利伽羅が予想以上にハマってた。刀ステの大倶利伽羅とはまた違ったアプローチでどちらも伽羅ちゃん、という説得力あり。青江はビジュアルのバランスや仕草、台詞回しは良かったけど、ちょっと大人しかったかな?石切丸は阿津賀志山*3の頃よりも落ち着いており、役をきちんと掴めてきている印象でした。初演を見ていないので、ライブパートで「歓喜の華」を聴けるのを楽しみにしてたんですが、今回は別の曲になっててそこは少し残念。ライブでは刀剣男士はもちろん、人間キャストの和太鼓がかっこよかった。ミュージカルパートは……曲はいいものもあったな。物語についてはいろんなところで言われてる通りだと思いましたので割愛します……。時間が経つのが遅すぎて映画館で何度もアナログ時計の針を確認しちゃったよ……。

 

4月

  • ミュージカル『薄桜鬼 志譚』風間千景 篇

薄桜鬼という作品自体のメインは新選組なので、オリジナルキャラクターで隊士ではない風間千景の話を、彼を主役としてそれだけで成立させるのは難しいんだな、と。前半は隊士との場面も少ないし、隊士それぞれのエピソードも他の篇と違って断片的で繋がりがあまりないので、物語に入り込みにくかったのは否めません。ゲーム前半で随所にある風間との絡みは軒並み削られてたもんな……。一幕終盤の山崎の羅刹化あたりからは盛り上がり出し、後半は怒涛の見せ場の連続だったので、そこで不安は払しょくされたけども。しかし新選組好きとしては、隊士が一人また一人といなくなっていく上に、千鶴ちゃんが隊士の誰かと一緒にいて心の支えになっている訳ではないことが、思ってた以上にしんどかった……。もちろんそれぞれの最期はどの隊士もしっかり魅せてくれたし、左之助と不知火の戦いで二年前の左之助篇の音楽が流れて懐かしくなったりもした。一幕に謎の演出*4があったりもしたものの、メインのちー様は文句ナシに格好良く、特にクライマックスの土方との一騎打ちは圧巻でした。

 

  • 宝塚 花組『CASANOVA』

長くなったので別にまとめました。楽しかったー!

 

  • Patch×TRUMP series 10th ANNIVERSARY『SPECTER』

初演は去年の夏の「はじめての繭期*5」で見て、ストーリーは把握した上で、今回の再演版を観劇。物語の根幹である「とある人物が無軌道に突っ走った挙句に多大な犠牲を出す」という部分は、「理由はわからんでもないが何故ああまでめちゃくちゃな方に行っちゃったんだろう?」という疑問を拭いきれないんですが、やはり臥萬里はかっこいいですね。Patchの舞台は初めてリアルで拝見しました。身体能力の高い人揃いなので、特に殺陣の場面は視覚的に見応えがあった。サトクリフとグレコの性格が初演と変わっていて(サトクリフは仲間に対して敬語で話していて一人称が「僕」、グレコは情緒不安定さが増してワンちゃん好き?になってた)、繭期四人組の個性がよりはっきりしたのは良かった。クラウスが冒頭から出てくるようになってたのも、話がすっきりしてわかりやすくなったと思う。グランギニョル好きとしては、萬里と石舟のやりとりに「アホの歌麿」「あの犬っころ」「春林師匠」といった内容が加わってたことにニヤニヤしておりました。TRUMPシリーズでは、前に出演した時の役と関係のある登場人物(もしくは同一人物)を別の作品で演じる、ということがよくありますが、ロダン役がTRUMP再演のオールフィメールバージョンでガ・バンリにあたる役を演じていた人だというのは後で知って二重に驚いた*6

 

*1:東京宝塚劇場A席のお値段

*2:しかし衣装のアンバランスさはもうちょい何とかならんかったんだろうか

*3:本公演を映像で鑑賞

*4:鬼の角の暗示なんだろうけど舞台の左右上方に斜めに刺さった木の板みたいなのが中央に向かってにゅーっと伸びてきたり、ソロの場面でバックダンサーと同じ振りをちー様が途中から踊りだしたり

*5:TRUMPシリーズの過去作品の何本かを日時を決めてYouTubeで無料配信するという何とも贅沢な企画

*6:登場時の声が女性のものっぽかったことにまず驚いた