3次元別館。

主に観劇の感想です。2.5舞台が多めでその他のミュージカルやストレートプレイも。

【観劇記録】9/23 舞台『GOZEN-狂乱の剣-』

 

  • 連動している映画の方は未見、舞台のみの感想です
  • 大きめのものは避けますがネタバレありのためご注意

 

観劇の二日前、用事を済ませて池袋駅構内を歩いていたら、突如この作品の巨大ポスターが目に飛び込んで来まして。確か刀ステの鶯丸の人が出てるんだっけ?と近寄ってキャストを見てみたら、主演が薄ミュの初代土方さんで、ルパパトのノエル、刀ステの長義、生執事のマダム・レッド役の各方々、更に少年社中の役者さんたちまで出演されてると。多分慈伝の時にもらったチラシの中にあるよね?と、さっと見てそれきりになってたチラシを帰宅して確認したら脚本演出は毛利さんで、ハムレットの和風アレンジっぽい?のか……で、急遽東京公演の前楽へ。駅のポスターを見て観劇を決めたのは多分初めてだな。ありがとう池袋駅

 

作品の印象を一言で表すなら「エンタメ全開時代劇@オタクの好きなもの全部乗せ(中二風味)」。あ、中二っていうのは役者さんもインタビューの中で言ってるからね! ストーリーがリンクしている映画もあるようなのですが、そちらは未見でも大丈夫でした。ただ、下敷きになっているハムレットのあらすじや登場人物、有名な台詞はざっくり押さえた方がより楽しめるかもです*1。王子が父親の仇を討つために狂ったフリをしてるとか、親友とやたら仲良し*2とか、父親の霊が出てきて「自分は弟に殺されて王位を奪われた」って告げたりとか、王子の彼女が酷い振られ方をした挙句に狂死するとか、元ネタからしてそんな感じなのに、そこに更に中二全開の登場人物が複数名加わって御前試合(と言う名の殺し合い)開始、とか、○杯戦争でも始まりそうな勢い。

前半は下ネタ含むギャグが多かったりもしますが、メインのストーリーはシリアス。テンポ良く飽きさせない展開の中、お亡くなりになる人も多いです。少年社中の過去作品や薄ミュに近いかな。ビジュアルは美しいし、映像を駆使した戦闘シーンやバリエーション豊かな殺陣など、全体に見応え十分でした。てか、甲斐正に仕える侍・蔵人の覆面オンのビジュアルとか、五芒星を宙に描いて臨兵闘者…って唱える陰陽師とか、一幕ラストで正体を現す某お方とか、七月に観た紅葉鬼と微妙に重なるところがあって、変な笑いがこみ上げてきそうになった……。

主人公の八弥斗(はやと)は前藩主の息子にしては幼いし情けない。ラブラブバカップルな関係にある奈奈に結婚を迫られてもなんだかんだ理由をつけてうやむやにしちゃうし、重大な決断を迫られると弱腰になったりもする。けど、弱い部分がとても人間らしいし、迷いに迷ってそれでも運命に立ち向かおうとする姿には叔父や父とは違う強さを感じました。終盤の奈奈との別れの場面は切なかった。

謎の武芸者、流狂四朗は、あーそう来ましたか!という役どころ。中盤まで出番は少なく、正体も明かされないので先に映画見ておくべきだった?とハラハラしていたら……なるほどな。殺陣の速さと重さに目を見張るものがあった。

メインの二人の他には、八弥斗の親友で物理的に弱いけど優しい清順(きよのり)、八弥斗ラブ全開で可愛いが……の奈奈、妹思いの兄・蓮十郎、銀髪赤目に加えて顔の大部分を覆うマスク着用で中二病全開スタイルの侍・蔵人(くらんど)、長髪黒づくめ+敬語で胡散臭さしかない陰陽師・月暗(蔵人との間に因縁有り)、兄を殺して藩主の座と妻を奪ったイケオジ・甲斐正、成人した息子がいても尚妖艶で美しく、愛に生きる奥方・朝霧等が愛憎入り乱れる様を繰り広げておりまして……複数刺さった方には是非ともおススメしたい次第です。

年明けに観た少年社中の舞台は個人的に合わないなーと思う部分があったのですが、こちらはエンタテインメントに振り切った作品として素直に楽しむことができました。

 

しかし。前の週に、同じく公演日直前に観劇を決めて劇場に赴いたのが『リトル・ ウィメン~若草物語~』でして。愛おしくてたまらない四姉妹と、お母様をはじめ周りの人たちの織り成す暖かな世界に涙しまくった翌週にこれって、我ながら振り幅大きいかも知れない……。

*1:自分も主要登場人物の名前と大筋、『To be, or not to be: that is the question.』や、『尼寺へ行け』くらいしか知らないし

*2:かなり昔に音楽劇で観た時、この二人やけに仲良くね? と思った記憶がある