3次元別館。

主に観劇の感想です。2.5舞台が多めでその他のミュージカルやストレートプレイも。

【観劇記録】8/6 科白劇 舞台『刀剣乱舞/灯』綺伝 いくさ世の徒花 改変 いくさ世の徒花の記憶(刀ステ)

 

  • 思い切りネタバレありの感想です
  • ところどころ記憶違いなどあるかもです

 

4ヶ月半ぶりのリアル観劇は刀ステからでした。今もいろいろな公演が中止になったりしている中、劇場で観劇することが叶ったのはすごく嬉しかった。

 

科白劇と聞いた時に朗読劇みたいなものを想像していたら、殺陣もあるとか? 一体どんな風になるんだろうとわくわくしていたら、役者同士距離を保ち、密集を避けながらも動く動く。殺陣も役者の動きと映像の合わせ技に加えて講談師*1の語りで臨場感たっぷりに表現されて、全く飽きることなく最後まで見入ってしまった。もちろん、暗り通路や熊本城内などゲーム本編の内容もしっかり再現されていました。改めて演出のすえみっさん凄い……。講談は初めて聞いたんだけど、あんなにスピード感と迫力のあるものなんだね。本編は「別の本丸の特命調査・慶長熊本の記録を、刀ステ本丸のメンバーが読み解く」という形式になっており、本来の『綺伝』とは異なる話であることが明確に示されていました。ほぼ同じ流れを辿ってはいるけれど、細部(?)が異なっているらしい。

て言うかですね。

長義って、超高慢かつスーパーエリートなんですね、という事をまざまざと見せつけられましたです……。慈伝で布バサされまくったり偽物くん騒ぎがあったりで忘れてかけてたけど『(略)美しいが高慢。 より正確に言えば自分に自信があり、他に臆する事がない。(公式Twitter)』なんだよな。放棄された世界のキリシタン大名の頬をいきなり張って「右の頬を打たれたら〜」とか言い放ってみたり、対峙しつつ威圧感バリバリに醸し出しながら脚組んでみたり*2、それでもって歴史や文学の教養もさらっと示したり、殺陣にもどこか余裕が漂うという……生まれた時から英才教育を受けて、それに伴う実力を備えたいいとこの御曹司のようだった。コミカルなところも捨てがたいが、ある意味俺様な面がクローズアップされた姿も実に良い。あと台詞がとても聞き取りやすかった。

歌仙は流石の安定感。今回の出陣メンバーの中で一番刀ステへの出演が多い事もあり、出て来ると舞台が程よく引き締まる感じが頼もしいです。なんというか安心感がある。歌仙もまた、義伝では少々ヘタれてたけど着実に成長を見せていて、精鋭揃いの第三部隊の隊長を任されるのも納得でした。殺陣も力強くスピードがあり、見応え十分。特に終盤……!

この二振り以外は初登場の刀。

にっかり青江は、衣装自体は割とストイックなのにそこはかとない色気が感じられた。刀ミュの、幽霊の逸話を思わせる掴み所のない雰囲気とはまた異なったアプローチだね。

亀甲貞宗は可愛らしくてポップで華やか。原作通り言動は多少アレなんだけどそれすらクスッと笑えてしまうかわいさと軽快さがありました。

獅子王はムードメーカー。陽気ではあるんだけど、むっちゃんの明るさとはちょっと異なり、年長の刀としての落ち着きが感じられた。

篭手切江は歌と踊りのれっすんに勤しみつつも「それらを実戦にも生かして戦う刀」の側面が強かった。今回の出陣部隊は皆、お仕事に関してスマートかつ優秀なんだな。

もちろんトラブルの火種というか厄介ごとを抱えてる刀もいて、科白劇(綺伝)では地蔵行平がそのポジションでした。ショートパンツから覗く脚が眩…じゃなくて、ガラシャとの束の間の交流が微笑ましくもあり、結末を知っている身としては同時に苦しかった。そして舞台上では特に違和感なく少年なんだけど、役者さんご自身のインタビュー写真を見ると性別という概念がわからなくなってくる。

リアルの人間が演じるとどうなんだろうな、とある意味少し不安だったのが古今伝授の大刀。元のゲームでは幽霊というより西洋のゴーストみたいな不気味さと儚さのあるキャラクターで、衣装も結構独特だしなあ、と。けど、舞台上に現れた古今さんはまるで桜のようにどこか浮世離れした美しさながら刀としての強さも兼ね備えていて、あっという間に不安は払しょくされたのでした。

ゲームで慶長熊本の特命調査をプレイした時、内容が非常に好みだったので、刀ステの次回作が慶長熊本とわかってめちゃくちゃ楽しみにしてました。しかし一番びっくりしたのは、物語の核となるであろう細川ガラシャ役を元宝塚の七海ひろきさんが演じるという事。知った時は職場の休憩スペースで声を上げそうになった。男役としての七海さんのお芝居は宙組時代から観ており、発表されたビジュアルも実に麗しいものだったので、心配はしてませんでした。

しかし。

ガラシャ様、想像以上に素晴らしかった……。

高貴で凛々しく、それでいて男っぽくもなく、時に強い情念を露わにしながらも最期までかっこ良くて、群れずに咲き誇る孤高の花のようでした。男役の経験がフルに生かされた見事な女性役で、宝塚ファンとしても嬉しかった*3。後半のビジュアルは一瞬、トート閣下もしくはオスカル?ってなったけど(笑)

他の歴史上の人物は、細川忠興黒田孝高以外は時々誰が誰だかわかんなくなりかけたけど、高山右近はわかったよ! 利休七哲だし!*4

黒田孝高はつまり黒田勘兵衛な訳ですが、ジョ伝のあの人とは別の存在のようでした。けど、科白劇はあくまで「他の本丸」の話なので、綺伝では違うのかもしれない。

 

エンディングの傘くるくるはなく、男声のオペラみたいな曲と共にスタッフロールが流れた後、出演者のお辞儀のみでした。そして、最後に刀剣男士八振りだけで舞台上に揃って一礼した時、あまりの美しさにスタオベで拍手しながら涙が出そうになった。刀ステでそんな気持ちになったのは悲伝のまんばちゃんの真剣必殺のシーン以来だよ……。

科白劇もまた刀ステの一作品であり、大満足といっていい舞台だったけれども、終わる頃には「あの本丸の慶長熊本の物語」、すなわち綺伝も観たいという気持ちが更に高まりました。このエントリーを書いてる今日は大千秋楽配信の日なのですが、ここまで誰一人欠けることなくこの日を迎えることができて本当に良かった。配信を見たらまた加筆するかもです。

 

*1:刀装だそうです。あと「だんし」繋がり。

*2:酒は「飲めない」。

*3:数年前に風共のスカーレットを見た時、女性役にしてはガサツ過ぎて頭を抱えたのが嘘のよう……

*4:♪コールミー利休七哲ー(by戦国鍋) 戦国炒飯も見てます。