3次元別館。

主に観劇の感想です。2.5舞台が多めでその他のミュージカルやストレートプレイも。

【映像作品感想】陳情令32話まで見ました

 

  • ネタバレちょいちょいあります
  • 記憶違いなど多少あるかも

 

前回までの経緯はこちら

 

魔道祖師のアニメ、ラジオドラマに続き実写ドラマ版『陳情令』を楽天TVで週3〜4話くらいのペースで視聴中です。今は32話まで来ました。大河ドラマどころかワンクールのアニメすら最近は完走できないのに、気づいたら折り返してたよ。むしろあと半分を切ったのが寂しい……。

 

華流以前に海外ドラマ自体ほとんど見ないので、いろいろ新鮮です。まずびっくりしてるのが背景と美術。山奥深くの雲深不知処はこれこそ深山幽谷っていうかリアル水墨画だし、山や川とかもずっと日本で暮らしてる身からすると訳わかんない広さで、雄大過ぎて呆気にとられまくってしまう。藍家の蔵書閣や蓮花塢の江家のお屋敷とか、出てくる建物もことごとく広大な上に内装含めて品良く美麗で、どんだけお金掛かってるんだろう*1

男性陣の髪型は老いも若きも、幼い子どもまで皆、肩〜腰くらいまである長髪にデコ全開で一部を結い上げるスタイル。最初は面食らったものの、話が進めば顔と服装で見分けはつくのですぐ慣れました。仙門の人たちの裾も袖もひらひらと長い衣装は、ひらひら好きとしてはたまらないです、ふふふ。首から下は足首まできっちり布に覆われてるから暑そうだよね。どっかのシーンのロケで腰から下はハーパンだったことがあるというのも頷ける。それにしてもメインのキャスト陣、江澄とか薛洋とか主役二人以外もことごとく麗しい……女優さんも温情とか意味わかんないくらい美人だし師姉も清楚な美しさだし、大陸は凄い。

 

アニメと同じく、2話までが現在の話で、2話のラストから32話はずっと過去の話です。アニメは7話まで見ていて、ラジオドラマも並行して聴いてますが、ラジオドラマ版は座学以降は13年後(ドラマでの16年後)に戻って話が進むので、過去編はほぼ初見でした。陳情令は陰鉄とかのオリジナル要素も多く、女性、主に師姉と温情の登場シーンが増えてる。と言っても、主役二人には他の誰かが恋愛的な意味で絡むとかは全くない*2ので、こちらとしても安心というか、女性陣の出番が多いのは良かった。

って、私さっきから魏嬰の姉弟子で江澄の実姉、江厭離のことを普通に「師姉」と表記してますが、気がついたらツイッターで呟く時等々、自分の中での呼び名が自然とそうなってしまった。あと魏無羨と藍忘機も、それぞれ魏嬰に藍湛と、互いを呼ぶときの本名で呼んでたりする……ので、この記事内では以降その表記でいきます*3

3〜9話くらいまでは流血シーンはそんなにないんですが、薛洋が魏嬰たちの前に出てきたあたりから血生臭くなってきて、11話くらいからは魏嬰を筆頭にほぼ毎回誰かしら血を吐いて負傷して、モブが大量にお亡くなりになり始めた……。それでも屠戮玄武のあたりまではわくわくしながら見られてたんですが、15〜16話がショックで結構ダメージ受けてました……なんだよあれ辛過ぎる。で、その後は温氏の討伐のあたりで持ち直し、不器用両片想いカップルに表情筋を緩めたりたりしつつも、窮奇道ら辺でまた落とされて、阿苑の存在に心和ませつつ師姉の結婚話で良かったねえってなってたところでの31話。見終わってからガチで涙目でうわぁぁぁぁあああ!って叫んだから。LILIUMの円盤見た時以来だよこんなんあんまりだ……。で、32話でトドメをさされて今に至ります。ちょっと上向いたと思ったら思いっきり地に叩きつけられる、を繰り返す仕様。過去編が地獄とは聞いてたが、こんなに壮絶だったなんて。

 

出てくる人たち、だいたい皆辛いことにはなってるんだけど、特に際立ってるのが魏嬰で、最初の頃は笑顔が大変可愛くて良いなあとにやけていたんだけど、どんな苦境に追い込まれてもふとした時に覗く笑顔を見てると次第にしんどくなってくる。その場その場で良かれと思った行動を、時に衝動的に取った結果、過去編の後半はことごとくが悪い方向に向かってしまうんだもんな。正義感や義侠心から来るものだけではなく、軽率と言わざるを得ないようなものも中にはあるけど、人間が常にプラスになる行動だけを取れるなんてことはあり得ない訳で。あの時魏嬰がこうしてなかったらあの人は酷いことになってたし、束の間であっても運命を共にしてくれた人がいた事はたとえ結果は同じでも彼らにとって救いだっただろう。けど、最終的にこうなっちゃうなんてあまりに無情過ぎるよ……と、打ちひしがれっぱなしの現状です。

で、「もう一人の主役」藍湛ですけど。邪推するまでもなくとっても魏嬰の事好きだなーこの人、というシーンが随所で不意打ちのように投下されて転げ回る羽目になってます。取りつく島もなかったのはごく初期だけで、親とパートナーと子ども以外には触らせないはずの抹額(頭に巻いてるアレ)にはあっさり触らせてるし、二人で旅に出ることになったり温晁に目をつけられて嫌がらせされまくった挙句に二人きりで七日間、魔物と一緒に洞窟に閉じ込められたりしてるうちに親しくなるのはまあわかるとして、その時点で既に二人の思い出を即興で歌にして口ずさめるって相当じゃなかろうか。それだけでもかなりのものだけど、江澄との再会の抱擁を目撃して「えっちょっと何してんのお前?」みたいな顔をしたり、自らを顧みず孤立を深めていく魏嬰を案じる余り「自分のところに連れて帰って、隠したい」と宣ったりとか、ブロマンスってなんでしたっけ?*4  おそらく友達とか全然いなかったところにいきなり入り込んできてしっちゃかめっちゃかにかき乱されて、けど(綿綿の一件からもわかるように)引っかき回した当人にはそこまでの影響を与えた自覚は全くなしって、罪作りだなあ魏嬰ちゃん(苦笑)。いろいろ規制があるらしい中、最大限に原作のその辺りの描写を盛り込み、ある時は形を変えてニュアンスを残してくれた製作陣に敬意と感謝を送りたい。

二人に次いで登場の多い江澄は、実の兄弟同然の兄弟子である魏嬰のことを人として好きなのは確かだろうけど、同時に強いコンプレックスも抱いており、更に宗主の一人息子(後に宗主)という立場ではできない事がたくさんあるから、自由気ままに動ける魏嬰が羨ましくもあるんだろうという複雑な感情を発しまくってて、BL的なそれとは違うんだけど関係性への血の滾りがこちらもまた凄いんですよ、ええ……。魏嬰とのどこかコミカルなやり取りも微笑ましい。過去編中盤〜後半は多分藍湛よりも江家の姉弟や温家の姉弟とのエピソードが多いから余計にね。てか、あんなに慈愛にあふれたお姉さんがいたらそりゃ弟弟子(と弟も少々そんな感じだし)もシスコンになるわ。

周りの人達も、しっかりゲスい悪役として描かれてるのは温晁と愛人の王霊嬌、あと温若寒くらいで、他の人たちは立場上そうするしかなかったり、やらかした事は酷いが心情はわからなくもない(もしくはおそらくそういう行動に走らせた何かがあった事が察せられる)とかで、いろいろな人が言及してるように、誰一人として完璧な人がいない。魏嬰と藍湛、江澄などはもちろんのこと、藍湛の兄で人格者である澤蕪君や、義侠心の強い聶明玦も金家の非人道的な振る舞いには眉を潜めるしかできなかったりするし、江家姉弟の母で子どもたちを厳しく育てつつ深く愛している虞夫人も、養い子に対しては最後まで苛烈な態度を崩さない。けど、彼らは決して否定的には描かれてなくて、強さも弱さも併せ持った人間として物語世界に存在してる。でもって、お話そのものが凄惨なシーンや容赦なく悲しい展開も含みつつめちゃくちゃに面白くて、こんなんハマらずにいられようか……。

 

ラジオドラマ版や字幕アニメ版、あとついに手を出してしまった原作本(繁体字)(固有名詞以外ほぼ読めない)についても書きたかったんですが、思いの外長くなったのでそちらは次回にします。アニメの吹き替え版は来年から地上波で始まるし、グッズの取り扱いがステラワースやアニメイトでも始まって、供給が増えてきたのは嬉しい限り。あとは原作小説の日本語版を心よりお待ち申し上げております(結局はそこに行き着く)。 

 

陳情令 Blu-ray BOX1【初回限定版】

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  • 発売日: 2020/08/05
  • メディア: Blu-ray
 

配信は購入でなくレンタルにしてたので、円盤購入しました(というか欲しくなるのを見越してレンタルにした部分はある)。ブックレットの写真が綺麗!特典スマホリングは魏嬰ウサギが来てくれました。メイキングとシーン吹き替えは未見なのでそのうち見たい……。

 

*1:不夜天はいかにもな悪の秘密結社過ぎて別の意味でえええ?!ってなったけど(笑)

*2:江澄→温情の片想いはドラマのオリジナル要素かな? そこは自分は面白いと思った

*3:読み方は陳情令とアニメ版では中国語、ラジオドラマでは日本語に脳内で自動変換されてる

*4:頭の「ラ」が抜けてないですかね……?