3次元別館。

主に観劇の感想です。2.5舞台が多めでその他のミュージカルやストレートプレイも。

【観劇記録】2020年9〜12月のまとめ+α

 

すごく久しぶりの更新になってしまいました。あれやこれやで劇場に足を運ぶ回数は減ったものの、ライブ配信も活用しつつ月1〜2回くらいのペースで観劇しています。昨年5月に出会い、今も沼真っ只中の魔道祖師は、アニメ字幕版をWOWOW*1で全話視聴&先日地上波でオンエア開始された吹替版1話は1日でWOWOWと東京MXとBS11の3回リアタイし、実写ドラマ版の陳情令も前回の更新後に50話完走しました。初中華ドラマでしたが最初から最後まで全くダレることなく、非常に面白かったです。Blu-rayBOX全3巻もしっかり手元にあったりする。ラジオドラマは二期制作中の報、そして一日千秋ってこういうことなのかと待ちに待った原作小説の日本語版は、今年の春に発売するとの告知がありました! わーい!!

 

以下、9月以降に観た舞台の感想です。配信も含め、だいたい見た順に。

※多少のネタバレあり

 

宝塚星組『眩耀(げんよう)の谷 ~舞い降りた新星~』『Ray -星の光線-』

8ヶ月ぶりの東京宝塚劇場星組からでした。劇場に入った時、来られたことが嬉しくてマスクの下で表情筋が緩みっぱなしだった。先に配信で見てたのでストーリーはわかってたんですが、眩耀〜は幕開き直後のダンスのシーンから画面越しに見るそれとは桁違いに美しくて、早くも泣きそうになってました。配信の画面だと舞台の奥行きとか、セットや照明のキラキラ具合が全然わかんなかった。生で観ることにして良かった。お話は初見ではちょっと長く感じられてしまったんだけど、展開を知ってから見ると、クライマックスの主人公達のシーンで涙が止まらなくなりました。宝塚で演じられる「虐げられた民達の抵抗を描く物語」で、主人公と仲間たちがああいう選択をするのは珍しいけど、私はとても好きです。どうかみんな、頑張って生き抜くんだよおお!と心で叫んでました。ヒロインは自分の兄や同胞を殺した将軍に愛人にされた上、子どもまで産まされるという悲惨な目に遭ってるんだけど、当事者の間にどんな感情があったのかは一切描かれずに「彼女はそういう事をされた」と、侍女の口から一言語られただけで、主人公も以降触れなかったのも良かった*2。ラストに「そうだったんだ!」と驚く仕掛けもあり、苦しみを乗り越えた主人公達の姿が眩しかった。新トップの礼真琴さんは芝居、歌、ダンスとも安定の実力に加えてフレッシュなパワーが感じられ、2019年冬のロクモで私の心臓を見事に撃ち抜いた新娘役トップの舞空瞳さんは、とてつもなく可愛くてダンスのキレが抜群! お気に入りの瀬央さんと有沙さんもそれぞれの持ち味を発揮できる素敵なお役でした(嬉)

 

THE MUSICAL CONCERT at IMPERIAL THEATRE(帝劇コン)

ProgramAを配信で見ました。朝夏さんはいつかCHICAGOに出て欲しい。ロキシーでもヴェルマでも。新妻さんの「命をあげよう」「100万のキャンドル」で泣きそうになる。城田・古川組の闇広、劇場で観たのはもう5年前なんだよなあ。今や古川さんもトート閣下だし。井上トートも一度観てみたい。そして花總さんの「秘めた想い(レディ・ベス)」でぼろぼろに泣く。やっぱりミュージカル好きだー!

 

音楽朗読劇『黑世界 ~リリーの永遠記憶探訪記、或いは、終わりなき繭期にまつわる寥々たる考察について~』

雨下の章は劇場、日和の章は配信にて。円盤で見たLILIUMのあのリリーが確かに舞台上にいました。リアルで見てもすごく華奢で、裏腹に眼差しは鋭かった。朗読劇と銘打たれてはいるものの、役者さんたちは動きまくるし歌もたくさんありました。歌手やレミゼ出演経験のあるミュージカル俳優が複数名参加されており、歌のクオリティがガチ。雨下の松岡さん、日和の上原さんの迫力は特に凄かった。好きだったのは、日和のラッカとノクとの話(「家族ごっこ」「血と記憶」「百年の孤独」)。ラッカ役の朴璐美さんの、幼い少女、大人の女性、年老いてからの演じ分けが見事でした。お笑い芸人の方が脚本を担当していた3話「静かな村の賑やかなふたり」もユーモラスかつ楽しいお話で、良い意味で予想を大きく裏切られました。雨下では5話「馬車の日」。仕掛けが秀逸で、ミステリ作家さんの脚本と知って納得でした。それと3話「求めろ、捧げろ、待っていろ」の強烈なインパクトよ……。今回中止になってしまったキルバーンも、いつか上演されるといいな。

 

ミュージカル『ローマの休日

帝国劇場にて。配信のクオリティも満足のいく物だったけど、劇場に行けるのはやはり嬉しい。朝夏さんのアン王女は美しく気品があって、その上すんごく可愛らしかった。新聞記者・ジョー役は加藤さんで、やさぐれつつも王女に向ける視線は優しくてめちゃくちゃハマり役だったし、アーヴィングの太田さんは軽やかかつ華やかで、登場すると周りが明るくなるようでした。お話自体は映画とほぼ同じ。歌も演出も特別派手ではないし、いわゆるハッピーエンドとは少し違うのにとても爽やかで、見終わった後は涙をふきつつも自然と笑顔になってました。

 

宝塚花組はいからさんが通る

※初演の感想はこちら

初演の頃から大好きで、柚香光さんがトップに就任したら本公演で再演して欲しいと願ってました。まさかお披露目でやるとは思わなかったけど! 大劇場に遠征する予定が公演自体が初日すら迎えられず、このままお蔵入りになる事だけはどうかありませんように……と祈る心地でした。七月にやっと幕が開き、二日目の公演をライブ配信で見た時、テーマソングのイントロが始まった瞬間に涙腺が決壊した。テーマソング2番で初演では蘭丸、鬼島が一人ずつ順に出てきた所に、環と高屋敷がそれぞれ加わったのも胸熱でした。少尉は外見の麗しさはもちろん、乙女の夢と浪漫な存在そのものが初演より更に磨きがかかって舞台上に顕現していたし、紅緒さんはパワフルさとキュートさが格段にアップしていたし、鬼島は存在感を増してかっこいいし、気弱でたおやかな蘭丸は男子っぽさがより際立ち……と、続投組が皆それぞれに成長を遂げていて感慨深かった。二代目となった編集長は初演とは異なるアプローチで、よりニヒルというか、パイプを咥える姿がとても似合っていた。環はビジュアルこそ原作そのものではないけれど、歌唱力抜群かつ力強いモダンガールで、見ていて気持ち良かった。二幕冒頭は環をセンターにモダンガール(withしれっといる蘭丸)たちが歌い踊る、かっこよくて痺れる場面なんだけど、他の、特に男性の劇作家だったらおそらくこうはしなかった*3と思うんだよね。天河の感想にも書いたように、女性の登場人物を大切に描いてくれる座付き作家さんの存在はとても嬉しい。出番の増えた高屋敷はめっちゃイケメンだし、吉次さんは凛とした大人の女性で素敵でした。その後、10月に東京公演のAパターンを観劇しまして、久しぶりの1階S席で観たはいからさん、特に少尉と紅緒さんはまさに少女漫画そのもの。ときめきをありがとう。話知ってるのに一幕最後とオーラスでは思わず涙が(近頃とても涙脆くなっております)。トップ娘役・華優希さんのお芝居がとても好きなので、次回の本公演で退団してしまうのがすごく寂しいです……。そうそう、自分が劇場で観た回は、公演前半にだけ出演するメンバーの千秋楽だったので、フィナーレの後に柚香さんから挨拶があったんでした。階段上にいるメンバーたちが見えるように、大羽根を背負ったまま膝をついたり腰をかがめたりするトップさんの姿は、多分初めて見た気がします。

 

宝塚月組 『WELCOME TO TAKARAZUKA -雪と月と花と-』『ピガール狂騒曲』

チョンパで始まる和物ショー、ド派手でいいね! 今回は仏像が出てこなくてほっとした。 特に「月」の場面が幻想的で美しかった。ピガールはコミカルかつお話がきれいにまとまっていて、多少の突っ込みどころ(元ネタの作品がそうなってるのでしょうがない)も気にならないくらい面白かったです。衣装デザインがかなり好みだった*4。男装の女性という役どころの珠城さんは爽やかで上品な青年ぶり、かつ柔和な雰囲気も漂わせていて、ガブリエルが一目惚れするのも無理ないよね。お相手役の月城さんはヒゲの似合う紳士で、途中の超ロングトーンに驚いた。その時のジャック(珠城さん演じるジャンヌの男装時の名前)のクールな反応も含めて拍手ものでした。んで鳳月さん、妻にゴーストライターさせてるような奴なのに、あんなイケおじなんて狡い。他にも暁さんの華麗なダンス、風間さん、千海さん、光月さんらのコミカルなお芝居等々、見どころ満載でした。

 

以上、配信含めても4ヶ月で7回*5と、去年に比べてだいぶ減ってしまった感はあるけれど、どれも観ることができて良かったと心から思えた作品です。それと舞台ではないんですが、中華アニメ映画の「羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ)」は2回映画館で見ました。アニメのクオリティがとても高くてシャオヘイがとにかくかわいいし、ムゲン、フーシー等々の登場人物(と妖精)もそれぞれ非常に良いのですが、2021年1月現在、円盤が出るかどうか未定なので、映画館でかかってるうちに見ることを強くお勧めします。冒頭に書いた魔道祖師アニメ吹替版も、地上波の他、複数の配信サイトで見られるので是非!!

 

今年は宙組のアナスタシアが観劇初め。昨年シアターオーブで男女キャスト版を観た時以上に優しく美しいお話であることが強く感じられ、観終わった後は幸せな余韻にしみじみと浸っていました。苦労の多い半生を送りながらも純粋な心を失わない真風ディミトリと、生命力にあふれ、聡明さと気品も備えた星風アーニャ、どちらも予想以上に素晴らしかった。いろいろ拗らせまくってる芹香グレブ*6、食えないところがありつつ陽気なおじさんな桜木ヴラドは、どちらも少し前に比べると役の幅が更に広がっており、ますます今後が楽しみ。ダンスシーンが見所の和希リリーは抜群に有能そうかつ健康的で、どこか気だるく色っぽいマダムだった浅海さんとはまた違った魅せ方でした。マリア皇太后は、2017年の神々の土地に続いて組長の寿さんが同じ役を演じており、心を閉ざした頑なな老貴婦人から、孫娘を慈しむ祖母への変化が鮮やかでした。

 

今年もまた、いろいろな事に気をつけながら観劇を楽しんでいきたいです。いつになるかはわからないけど、また客席降りやコール&レスポンスを心置きなく楽しめるようになる日を心待ちにしつつ。

 

*1:このために加入。宝塚や2.5次元舞台、新感線、タイBLドラマ、映画やコンサート等々も見られるのでQOLが上がってます。

*2:彼女と将軍の愛憎劇を見たかった、という意見もあるけど、自分はそんなの見たくない。もちろん将軍役の愛月さんは冷徹かつ堂々とした風格で好演でした。

*3:編集長と冗談社の面々がセンターで、その後ろと脇で環を含めたモボ・モガが踊る、みたいなのじゃないかと

*4:特に美園さんがポスター画で着てるストライプのドレス!

*5:はいからさん千秋楽の配信を入れたら8回

*6:1幕のアドリブはヒゲダンスだった