【観劇記録】5/29 天は赤い河のほとり/シトラスの風-Sunrise-(宝塚・宙組)
・とてもざっくりとした感想
・ストーリーのネタバレあり
「天は赤い河のほとり」はリアルタイムで読んでたので、発表されたときは懐かしさを覚えつつ、あんなシーンやそんなシーン盛りだくさんなんだけど大丈夫か?と若干心配になったものでした*1。
コミックスを文庫版で3巻まで復習した上で観劇終了してまず声を大にして言いたいこと。
何でこれ、一本物でやんないの?!
※気持ち的には72ptくらいの大きさで
めいっぱい頑張ったんだなーというのはわかるんだけど、いくらなんでも端折り過ぎ。コミックスは全28巻、文庫版でも16巻あるのに、お芝居とショーがそれぞれ独立した二本立ての時にやる演目じゃないよ! TCAプレス*2によると、その辺は脚本家や演じる人たちも感じていたようで「ドリームライブ、略してドリライ」だとか……。そうかドリライなのか、まだ見たことないけども。
上記のように思ったのも、ビジュアルや各場面の作りはとても良かったから、だったりする。
登場人物が勢揃いするオープニングが神だとは聞いていたけれど、噂に違わない豪華さ、かつビジュアルも文句ナシで、ちょっと涙出たくらい素晴らしかった。カイルは高貴さあふれるザ・皇子様だったし、ユーリは可愛くてかっこよく、ラムセス、マッティワザ、ザナンザ、三姉妹、ティト、イル・バーニ、ネフェルティティ、ナキア等々も良かった。
古代オリエントの話のため、コミックスは男女問わず肌露出が多めなんですが、さすがに宝塚なので、露出控えめになっておりました。ユーリが現代の服から着替えたとき、「この服、肌の露出が多い…」的なことを言ってたので、元はマイクロミニ丈だから!と内心突っ込んでみたり*3。あと、R指定が入りそうなレベルのセクシーな場面は軒並み抑えめorばっさりカットとなっておりまして、「天は赤い河のほとり(全年齢版)」ではあった。
カイルは愛情表現がワイルドかつお色気ただよう皇太子というよりは、気品漂う皇子様度高め。ユーリに対する手の早さはだいぶ薄まってたけど、元々聡明で人望はある訳だし、こういう解釈もありかな。真風さんはもうちょっとギラギラした感じのトップになるのかなーと勝手に思い込んでいたんですが、物腰穏やかな貴公子、といった雰囲気で良き。
ユーリは「カイルの相手役*4」という位置づけではなく、物語の主役として描かれていて嬉しかったです。ネフェルティティにヒッタイトと通じていた証拠をつきつけるところ、軍隊に号令をかけるところなど、かわいいだけでなく堂々としていて見惚れた。
嬉しかったと言えば、ナキアとネフェルティティ(タトゥーキア)も。二人の少女時代の哀しい記憶や、それぞれの大切な人との思い出がきちんと時間を割いて(ナキアの少女時代にはソロ歌まであり)描かれていて、単なる敵役に留まっていなかったのはすごく好印象でした。2週間ほど前に見た往年の名作とされる某演目の、ヒロインの描かれ方にもやもやしまくったばかりだったので特に……。時代が変わってきたのもあるし、脚本家の性別に由来することとは言い切れないけど、女性の座付き作家が増えてよかったな。まあ、ネフェルティティとマッティの関係がわかりにくい*5&メンズ陣が割を食っちゃったのは否めず、特にウルヒ、ルサファ、カッシュはもうちょっと何とかならんかったんかなーというのが正直なところではあるんですが。
逆に出番が増えてたのがティトで、序盤では殺されず中盤まで生きていて、ユーリの身代わりに処刑される、という展開になっており、ウルスラの役割も兼ねていました。配役の発表時点でウルスラが出て来ないと知ったときは残念だったけど、終盤でカッシュの頭の飾りがそれらしきものになってて胸熱*6。
ラムセスは原作でどうだったかあんまり覚えてないのでコミックスの続き読まねば。ユーリを口説くシーンの曲と振付がいかにもベタなミュージカル調だったのが面白かった。宙組に来てからは初めてお目にかかる芹香さんは、花組の頃よりもキリっとしたような。これまであまり見たことのない役どころに新鮮さを覚えつつ、期待通りかっこ良かった。
不満な点を多く書いてしまったものの、歌舞伎みたいに名場面のいいとこどりの上演、と割り切れば、とても華やかで十分楽しめる演目ではありました。
ショーの「シトラスの風」は、場面によっては20年前の初演当時そのままのデザインの衣装だったりと、時代を感じる部分は確かにあるんですが、社交界での三角関係を描いた「ノスタルジア」はやっぱり好きだし、「明日へのエナジー」は何度観ても震えがくるくらい圧倒される。初演にあった花占い(?)や、白い仮面をつけたダンサーたちの場面は、再演以降はやらなくなっちゃったんだろうか。今回新しく追加された場面では、黒と白のシンプルな装置で組長の寿さんと新トップの真風さんを中心にして、男役のダンサーたちが踊るところが素敵でした。