3次元別館。

主に観劇の感想です。2.5舞台が多めでその他のミュージカルやストレートプレイも。

【観劇記録】5/18,5/23 『COCOON』星ひとつ編/月の翳り編

 

注意:ネタバレ全開の感想のため、映像を含め観劇予定の方はスルーを強く推奨します

 

COCOONは同時期に「月の翳り(以下、繭月)」と「星ひとつ(以下、繭星)」という二つの違った作品が交互に演じられる*1という変わった形式にも関わらず、発表されたあらすじは短くぼんやりとした内容で、しかも誰がどの役を演じるかすらわからない状態。結局、過去にダリ、ソフィ、クラウスを演じた方々が出ている繭星を劇場で観て*2、繭月はライビュにしました。

どんな作品になるのか想像もつかない状況で繭星から観劇。

 

 

※以下、シリーズの他の作品も含め思い切りネタバレしています(ところどころ記憶違いなどあるかも知れません)

 

 

あらすじには「ウルの慟哭の結末を描く」とあって、でもそれ「TRUMP」で既に描かれてない?と首を傾げていたら、繭星はほぼTRUMPでした。正確には、SPECTERとグランギニョルを踏まえてウルとダリの視点から再構成したリライト版TRUMPといったところ。元の話では描かれていなかった場面も多いため、単純な焼き直しにはなっていなかったように思います。というより繭月と繭星は単体でも完結しているけれど、二作品が同時に上演されることによって完成する作品なのではないかと(これについては後述します)。

舞台上はまたしても美の暴力。ほぼ白一色の、レースやフリルがふんだんにあしらわれたゴシック全開の衣装で、見目麗しい役者さんたちが舞台を所狭しと歩き、走り、時には剣を振るう……下手側の前から4列目というかなり前方の席だったのも手伝って「なにこれ、美死ぬ(うつくしぬ)……」などと頭の中にわけのわからない語彙が渦巻いておりました……特にダリちゃん(14年後長髪バージョン)な!!

「TRUMP」は劇場で観ていないので、まさか客席からの「ダリちゃーん!」コールに参加できるなんて思わなかった。あの椅子になってる人たち、イスビトっていうのな……。過去のバージョンだと「当然」って感じで座ってるんだけど、染谷ダリちゃんはめっちゃドヤ顔でした。しかも、着席した直後に「トイレに行きたくなった」ってハケようとするし、「♪貴族は大変だー、トイレに行けなーい」とかそんなことを歌いながら*3ふにゃふにゃした盆踊りみたいなのを踊ったりとお戯れまくり。ラファエロとウルが去った後の日替わりは、イスビトの一人に「無人島にひとつだけ持って行けるとしたら何だ?」と聞いて「……枕」「ナイーブか!」てなやり取りの後、ティーチャーグスタフに同じ質問→「(グ)……ミケランジェロ」(めっちゃ嬉しそうなミケちゃん)「(ダ)(ミケに対して)お前の恋愛対象はどっちなんだ!?」「(ミ)(口に指を当てて内緒、のジェスチャーwith微笑)」などという、ティーチャーズによる盛大なノロケが繰り広げられておりました。末永くお幸せに。全体的にギャグシーンがカットになってる中*4で暴れまくっておった。

繭星のウルはDステ版よりも快活で、人気者オーラがにじみ出てました。それだけに、顔をぐちゃぐちゃに歪めながらなりふり構わず永遠の命を求める姿が痛ましくて、観ていて辛かった。ソフィは今までのソフィよりもクールで尖っていたけれど、孤高の雰囲気を兼ね備えてもいて、ウルから見た彼はこうだったのかな、と少し新鮮な気持ちに。そしてラファエロとアンジェリコ。前者は映像で見た時よりも重々しく発せられた「弟を守る」誓いに「随分と重いなぁ」と少々戸惑い、後者は最期の「僕たちがなにしたってんだ」に対して「いや、君たち相当やらかしてるから」と心でツッコミを入れてたりしたんだけど……したんだけど……これについても後述。

ガ・バンリとソフィの関係では「姉さんに似ている」っていうガ・バンリの独白が追加されてて、ネブラ村のあの子が大人になった姿なんだよなー、と4月に本多劇場で観たSPECTERを思い返しつつ感慨。そりゃソフィを助けようと必死にもなるよ、姉の忘れ形見で、自ら名前を与えた甥っ子なんだもの。

ティーチャークラウスの正体は最初から明かされてて、現在の時間におけるアレンのことも早々に判明する。繭星のクラウスは、誰かと会話していてもいつもどこか虚ろで、ひとりだけ別の世界に魂が飛んで行ってしまっているようでした。以前とあるお芝居で、不死の肉体を持った登場人物による「そりゃ狂うわ!」という台詞があって、それを思い出した。しかし、伝説だと信じて疑わなかったTRUMPが実在したどころか、我が子の在籍するクランのティーチャーをしている、ってことを知ったダリちゃんの衝撃はいかなるものだったんだろう。その上更に「(実の父親から受けた呪いに)負けるな」と願ったウルに、自らの誕生を否定するような事を目の前で言われてしまうし。辛いのはわからなくはないけど、それを育ての親の前で言っちゃうのはあんまりだよ、ウル……。全てが終わって、ダリが血の繋がりのない息子の亡骸と対面する場面。周りからめっちゃすすり泣きや嗚咽が聞こえてちょっとびっくりしたけどこれは泣く……私も涙出たし。事前に告知されていたように、今までの作品のような仕掛けや驚きはないものの、一週間以上経った今これを書きながらも、目の前で繰り広げられた情景を脳裏に蘇らせる度に切なくなるお話でした。もちろん殺陣のシーンは複数回あり、役者さんたちの身体能力の高さに目を見張るばかりでした。特にソフィの、相手の攻撃をかわしたりする時の華麗な動きに見惚れた。

 

そして、5日後に繭月をライビュで観劇。

両方に出演してる人は同じ役かな?と予想してたら、繭星でウル役の宮崎さんが演じるのはエミールという別の吸血種でした*5。なんだけど、ラファエロには繭期の症状で弟のウルの姿に見えている、という設定で、配役の絶妙さに唸るしかなかった。

今回新登場のジュリオ*6がかわいい!ストレートロングの黒髪に姫袖のひらひらした衣装で、登場シーンで既に「かわいい子来たー!」と心で喝采してました。「退屈過ぎて涅槃像(by LILIUM)」ありがとう。一人称が「僕ちゃん」で、バルトロメ@SPECTER寄りのエキセントリック君なのかと思いきや、繭期の中で一番冷静な子だった。おっとりしたエミールともども、しんどい話の癒し的存在。ふたりがこちら側にとどまったまま、繭期を越えることができてよかった……。

最初の方の月を見る場面はよくある青春モノっぽいなー……などと若干生暖かい気持ちになってたけど、そんな状態のまま続く訳もなく。息つく間もなく繰り広げられる親愛、憧れ、畏れ、恐怖、執着、愛情と表裏一体の憎しみ等々、登場人物それぞれの強すぎる感情どうしのぶつかり合いの連続に苦しくなって、なのにスクリーンから目が離せなかった。個人的には、上級貴族の跡継ぎという立場を厭うディエゴや、繭期に異常なまでの執着を見せるドナテルロのそれらにちょっと心の琴線に触れる部分があって、それもまた辛かったです……。けれども、ディエゴを否定する特級貴族のアンジェリコも、同じく特級貴族であることの重圧に苦しむラファエロもまた、達観とは程遠い場所にいるのが同時にわかるから、更にしんどい。だって「心の色が見える」というジュリオが見た三人の心の色は「血を流し続けて真っ赤」だったのだし、役者さんたちの舞台上の熱演がそれを裏付けてもいた。

アンジェリコについては、ジョルジュとモローをイニシアチブを用いずに屈服させたシーンは圧巻でした。ふたりが自らの意思でアンジェリコを崇拝していたのなら、それは孤独な彼にとっての(本人はそうはとらえないかもだけど)救いな気がする。いや、わかんないけどな、実は……ってことだったりするかも知れないからな(マリーゴールドのアレを思い出しつつ)!

アンジェリコラファエロも、繭星の時に「ん?」となったあの台詞がこんな経験の上に発せられたと知ってしまったら、もう何も言えないよ。そりゃ弟を守ることに執念を燃やすのも、最期に恨み言めいたことをつぶやくのも当然だよ……。

COCOONは全体に演出が秀逸で美しいんだけれど、繭月ラストシーンのそれは、言葉で表すのが難しいくらいの衝撃でした。白を身に纏う人たちの世界で二人だけ、血に浸したかのような赤を纏ったアンジェリコラファエロ登場人物全員が白の衣装なのは、このためだったんじゃないかと思ったくらい。そして、最後の最後、無数の真っ赤な花びらの塊がアンジェリコの頭上に落ちてくる(降り注ぐではなく)場面でとどめを刺された。

繭月は物語のどこに、誰に惹かれるか(あるいは反感を抱くか)で全く違った感想を抱きそうな作品で、内容にばらつきがあるのも納得。そして、衝撃さめやらぬままの帰り道、繭星のラストでは、舞台の上に真っ赤な花びらが降り注いでいたのを思い出した。ウルにソフィのような友人がいたことが「希望」であっても、息子を立て続けに二人も亡くしてしまって、悲しくないはずがない。ダリちゃんの心は、あの時血を流していたんだ……なんてことに思い至ってまた別の切なさがこみ上げて情緒不安定に陥ってた。

私は星→月の順で観たので、繭星のいくつかの場面が繭月を観ることによって補完された、という印象でした。どちらから観ても問題ないし、冒頭にも書いたようにどちらかだけでも話は通じるけれど、両方を観たことによってはじめて「COCOON」というひとつの作品が「完成」したように感じられた。 

 

これを書いている現在は状況が変わっているかもですが、6月3日(月)の「月の翳り」追加公演分のチケットがまだまだ残っている、とのことで、大阪近辺に住んでいたら!という気持ちでいっぱいです……。もし迷っている方がいらっしゃったら、炸裂する美の暴力、激しい感情のほとばしり、美しく鮮烈などという言葉では言い表せてる気がしない衝撃的な演出の数々を、是非生で観て来て……!

*1:マチネが繭月でソワレが繭星、次の日はその逆、というような感じ

*2:TRUMPシリーズでは、前に演じた役と同じ、もしくは関わりの強い役を同じ役者さんが演じることがよくある

*3:うろ覚えです

*4:めっちゃ貴族でめっちゃすごくてめっちゃえらい、すらなかったりする

*5:他の方々は同じ役

*6:SPECTER再演クラナッハだったのか……びっくり

【観劇記録】 1~4月の観劇まとめ(宝塚雪組/星組・薄ミュ風間篇・SPECTERなど)

 

このところ体調を崩したり、別件の書きもので切羽詰ってたりとなかなかまとまった文章を書く時間が取れなかったので、最近観た舞台(ライビュ含む)の感想をまとめて。

 

※多少ネタバレあります 

 

1月

  • 宝塚 雪組『ファントム』

トップコンビの美しい歌声に聴き惚れるばかりでした。こんな見事なお歌を5500円*1で聴けるって何事なんだろう……。特にクリスティーヌを演じた真彩さんはまさに「天使の歌声」で、登場シーンから既にそうなんだけど、エリックのレッスンを受けた後のビストロの場面での歌はそれよりも遥かに素晴らしいもので、その演じ分けに感嘆するしかなかった。後半はあまりにエリックのたどる運命が悲しすぎて辛くなってしまったんですが、全ての元凶のキャリエールも予想以上の好演でした。ベテランどころではコミカルさを前面に出しつつ迫力満点のカルロッタが素敵でした。

 

2月

  • 宝塚 星組『霧深きエルベのほとり』『ESTRELLAS~星たち~』

ストーリーそのものは単純と言えるし、正直古さを感じる部分はある。けれども終盤では涙が止まらなくなった。粗野で無教養だけれど繊細で心優しい船乗り、カールを演じた紅さんがそうそういないんじゃなかろうかというくらいのはまり役だったのはもちろん、カールと恋に落ちる良くも悪くもイノセントな令嬢、マルギット役の綺咲さんもそれはもう文句なしに可愛くて、観ているこちらに全く反感を抱かせなかったのは見事でした。ショーの方はドラマチックな盛り上がりはあまりなかったけど、ひとつひとつのシーンが丁寧に作られていて、飽きることなく楽しめた。この公演で退団の七海さんの見せ場がいくつもあったのも良かったです。二か月連続で、今のトップコンビ(と、各組の組子)だからこその演目を観ることができて嬉しい。

 

3月

  • ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』

  感想はこちら

 

  • ミュージカル『刀剣乱舞』 三百年の子守唄(再演)/ライブビューイング

村正と蜻蛉切の歌の力が半端なかった!演技の方も村正のエキセントリックさはやり過ぎにならない絶妙なバランスだったし、蜻蛉切もこれまたイメージ通りでした。元気いっぱいな物吉貞宗*2と、やさぐれ大倶利伽羅が予想以上にハマってた。刀ステの大倶利伽羅とはまた違ったアプローチでどちらも伽羅ちゃん、という説得力あり。青江はビジュアルのバランスや仕草、台詞回しは良かったけど、ちょっと大人しかったかな?石切丸は阿津賀志山*3の頃よりも落ち着いており、役をきちんと掴めてきている印象でした。初演を見ていないので、ライブパートで「歓喜の華」を聴けるのを楽しみにしてたんですが、今回は別の曲になっててそこは少し残念。ライブでは刀剣男士はもちろん、人間キャストの和太鼓がかっこよかった。ミュージカルパートは……曲はいいものもあったな。物語についてはいろんなところで言われてる通りだと思いましたので割愛します……。時間が経つのが遅すぎて映画館で何度もアナログ時計の針を確認しちゃったよ……。

 

4月

  • ミュージカル『薄桜鬼 志譚』風間千景 篇

薄桜鬼という作品自体のメインは新選組なので、オリジナルキャラクターで隊士ではない風間千景の話を、彼を主役としてそれだけで成立させるのは難しいんだな、と。前半は隊士との場面も少ないし、隊士それぞれのエピソードも他の篇と違って断片的で繋がりがあまりないので、物語に入り込みにくかったのは否めません。ゲーム前半で随所にある風間との絡みは軒並み削られてたもんな……。一幕終盤の山崎の羅刹化あたりからは盛り上がり出し、後半は怒涛の見せ場の連続だったので、そこで不安は払しょくされたけども。しかし新選組好きとしては、隊士が一人また一人といなくなっていく上に、千鶴ちゃんが隊士の誰かと一緒にいて心の支えになっている訳ではないことが、思ってた以上にしんどかった……。もちろんそれぞれの最期はどの隊士もしっかり魅せてくれたし、左之助と不知火の戦いで二年前の左之助篇の音楽が流れて懐かしくなったりもした。一幕に謎の演出*4があったりもしたものの、メインのちー様は文句ナシに格好良く、特にクライマックスの土方との一騎打ちは圧巻でした。

 

  • 宝塚 花組『CASANOVA』

長くなったので別にまとめました。楽しかったー!

 

  • Patch×TRUMP series 10th ANNIVERSARY『SPECTER』

初演は去年の夏の「はじめての繭期*5」で見て、ストーリーは把握した上で、今回の再演版を観劇。物語の根幹である「とある人物が無軌道に突っ走った挙句に多大な犠牲を出す」という部分は、「理由はわからんでもないが何故ああまでめちゃくちゃな方に行っちゃったんだろう?」という疑問を拭いきれないんですが、やはり臥萬里はかっこいいですね。Patchの舞台は初めてリアルで拝見しました。身体能力の高い人揃いなので、特に殺陣の場面は視覚的に見応えがあった。サトクリフとグレコの性格が初演と変わっていて(サトクリフは仲間に対して敬語で話していて一人称が「僕」、グレコは情緒不安定さが増してワンちゃん好き?になってた)、繭期四人組の個性がよりはっきりしたのは良かった。クラウスが冒頭から出てくるようになってたのも、話がすっきりしてわかりやすくなったと思う。グランギニョル好きとしては、萬里と石舟のやりとりに「アホの歌麿」「あの犬っころ」「春林師匠」といった内容が加わってたことにニヤニヤしておりました。TRUMPシリーズでは、前に出演した時の役と関係のある登場人物(もしくは同一人物)を別の作品で演じる、ということがよくありますが、ロダン役がTRUMP再演のオールフィメールバージョンでガ・バンリにあたる役を演じていた人だというのは後で知って二重に驚いた*6

 

*1:東京宝塚劇場A席のお値段

*2:しかし衣装のアンバランスさはもうちょい何とかならんかったんだろうか

*3:本公演を映像で鑑賞

*4:鬼の角の暗示なんだろうけど舞台の左右上方に斜めに刺さった木の板みたいなのが中央に向かってにゅーっと伸びてきたり、ソロの場面でバックダンサーと同じ振りをちー様が途中から踊りだしたり

*5:TRUMPシリーズの過去作品の何本かを日時を決めてYouTubeで無料配信するという何とも贅沢な企画

*6:登場時の声が女性のものっぽかったことにまず驚いた

【観劇記録】 3/2 ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』

 

  • 演出などのネタバレありの感想です

 

ロミジュリは宝塚版*1の印象が強くて、正直なところホリプロ版は2013年版観劇時に「キャストは申し分ないしダンスシーンとかはかっこいいんだけど、演出と一部の衣装がちょい微妙なんだよな……」と思って前回のはスルーしてました。しかし、気になる役者さんが複数出ているし、演出がリニューアルされてるなら、と、チケットをゲット。

この回のキャストは写真の方々でした。

 

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最初に思ったのは、演出も衣装も格段に好みになってた!

まず衣装について。大人組のそれが若者組に近い現代寄りのデザインになってました。子供たちがデニムとか着てるのに、母親たちは何でドレスなんだろう?と、違いを楽しむより先に奇妙だったからね……。キャピュレット家の若者たちの衣装が、男女とも赤を基調にしたワイルドかつセクシーなものになってたのも良かった(前回は確か、男子は赤のトップス+豹柄パンツ、女子は豹柄のミニワンピみたいなので、一昔前のヤンキー&マンモス狩ってる人たちみたいだった……)。

演出は冒頭からちょいちょい変わってました。モンタギューとキャピュレットの抗争を制しにくる黒づくめ特殊部隊みたいのがいなくなったり、ロミオが登場時、元カノたち?からの留守録をスルーしまくるシーンがカットされてたり*2、「死」が主張し過ぎずそれでいて静かに存在感を放っていたりと、前回「えー……」と困惑した場面がなくなったり変わっていたりしたので、より作品世界に集中することができました。まあ、スマホに関するあれこれは観劇2回目で慣れたという部分も大きいだろうし、2幕でふたりが別れの一夜を過ごした朝、ベッドがずずずーっと舞台正面に進み出てきて、布団から出たロミオがパンイチっていうのは変わっておらず、今回もそこだけ露骨過ぎて笑いそうになったけど。あと、緑に発光する毒薬の瓶。あれ前回はなかったよね?3階席からもわかるくらい存在感放たなくてもいいから瓶!ってなりました……。

以下、キャストの雑感など。 

  •  大野ロミオはキラキラ王子様でした。遊び人というより、女の子たちから遠巻きにキャーキャー言われつつ、たまにその中の一人とちょっと仲良くなる、くらいのイメージ。2013年に観た城田ロミオより更にその印象が強かったです。生田ジュリエットは純粋培養のお嬢様で、恋に恋する夢見がちな少女そのもの(なんだけど結構肝は据わってるし、突っ走り始めると止まらなかったりもする)。存在そのものが可憐でめっちゃ可愛かった……!二人とも恋に落ちた瞬間から互いのことしか見ておらず、その様子が眩しいくらいにきらめいておりました。「バルコニー」や「エメ」も、歌の技術は申し分ない上で純粋さが際立っており、何度も泣きそうになってしまった。
  • 「恋人って呼んで。それが僕の名前(ニュアンス)」「愛の花だわ!」等々いかにも芝居掛かった歌詞や台詞が多いので、パリスのことを「キザ野郎」と評するロミオに「いやいや、あなたもなかなかですから」と心で突っ込みつつ、これだけ浮かれてたらしょうがないよな、と納得させられてしまうものがあった。箱入り娘のジュリエットはともかく、なんでロミオはキャピュレットへの憎しみが薄い、というより元々抱いていないようにすら見えるんだろう?とか、娘が部屋で倒れて息してなかったらまず医者呼ぶだろうし、その時点で仮死状態ってバレるんじゃ……とか、ツッコミ出すときりがないけどね(苦笑)。歌曲は言わずと知れた名曲揃い。宝塚版のCDを何度もリピートしてます。男女混合バージョンもCD欲しいんですが、どのバージョンも出てない、ということは権利の関係とかで難しいのかな。
  • 渡辺ティボルトからは昏い色気と共に、自分でもどうしようもない憎しみに囚われて苦悩している面が強くにじみ出ていました。今までティボルトは「かっこいいけどぶっちゃけ中二病全開で時に痛々しい」人*3だとずっと思ってたんだけど、ちょっと見方が変わった。歌声の声量も見事でした。
  • 新鮮だったのが黒羽マーキューシオ。イキってはいても育ちのいいお坊ちゃん(大公の甥だからね)な面がしっかりと現れてた印象。宝塚の壱城さんが演じていた雰囲気に近いかな。予想以上に歌唱も安定して聴かせてくれました。三浦ベンヴォーリオは、リーダーとしては少し頼りなさそうなんだけど、「しょうがねーな、俺たちが助けてやるよ」てな調子で皆に慕われてそう。こちらも育ちの良さが感じられて、ロミオと親友というのも納得。「どうやって伝えよう」では、友人二人を一度に失って、急に大人にならなくてはいけなくなった(もう無邪気な子供ではいられない)切なさがこれまでの演出よりも明確だった気がします。
  • ロミジュリはアクロバティックなアンサンブルのダンスも見どころ。「チーム・悪ガキ」なモンタギューの若者たちの「世界の王*4」「綺麗は汚い」などの明るいナンバーと、「チーム・不良青年」なキャピュレットの、舞踏会シーンやティボルトの「今日こそその日」に乗せて踊る、色香の漂うダンスの対比も面白かった。
  • 台詞なし、ダンスのみの象徴的な存在の「死」。前半は全身黒ずくめ+黒の帽子でマントを翻し、影法師のようにひっそりとしたイメージで、後半から徐々に存在感を増していく。2013年のバージョンでは、ロミオとジュリエットが一夜を過ごしたシーンで上半身裸で逆さづりの状態で天井からぶら下がってたりするなど、インパクトが強すぎてポカーンだったんですが、今回は、前に出過ぎず、後ろに下がり過ぎずのバランスがちょうどよかったように思います。
  • 大人たちはベテランぞろいで、どの人の歌声にも聞き惚れていました。特に好きだったのはジュリエットの乳母で、お嬢様への深い愛情もさることながら、「綺麗は汚い」で、からかってくる若造たちを鼻であしらいつつ高らかに歌い上げる様がかっこ良かった。彼女がいたから、ジュリエットはあんなに清らか、かつ、信念を貫く強さのある子に育ったんだろうなという説得力あり。キャピュレット夫人も、娘にパリスとの結婚を促す場面で「高貴な家に生まれた女性の苦しみ・娘への愛情と表裏一体の呪い」を情念たっぷりに表現されていて、ゾッとするくらいの迫力があった。

数年前の観劇時と見方や印象が変わった部分が多くて、そういう意味でも楽しめました。この日がマイ初日&マイ楽だったんですが、他のバージョンと観比べてみたかったなー……って日替わりありの舞台で毎回言ってる気がする(笑)

*1:雪組月組(明日海ロミオ)、星組本公演(A・Bバージョン)を観劇

*2:「遊びなら何人かとつきあった」と歌ってはいるんだけど、あの場面にはモヤっとしたので……

*3:でもそこがイイ

*4:この曲、すごく好きなのです

【映画鑑賞記録】1/20 映画刀剣乱舞

 

【注意】鑑賞予定の方はもちろん、見ようかどうしようか迷っている方も、一切ネタバレ無しで速やかに映画館へ向かわれることを強くお勧めします(この感想エントリーも回避推奨)

 

昨年実写映画の上映が発表された時は「刀剣男士キャストの半分以上は刀ステの人たちだし、脚本も評判のいい人みたいだから悪いことにはならなそうだけど……実写映画か、うーん……」と、戸惑う気持ちの方が大きかったです*1。けれども主題歌の公開をきっかけに恐る恐る予告編を見てみたら、予想以上に違和感がなく普通に面白そうだったので、初めてムビチケ*2を購入したついでに映画館でチラシもゲット、Web配信の番組もチェックし始めたりしているうちに公開日が待ち遠しくなってきた。初日にちらっと探ってみたら、ネタバレを見てしまわないうちに映画館へ行け!というツイートを見たので、公開3日目のうちに行ってきました。

 

やー、面白かった!!

 

当方はゲーム歴そろそろ4年の審神者で刀ステ沼に浸かっており、ミュの方は今のところ映像で2作目まで、アニメも一通り視聴している身です。最初は三日月宗近をはじめ、舞台でおなじみのキャストがスクリーン上で刀を振るっているのが不思議な気がしていたんですが、すぐに慣れました。別の本丸の話として、抵抗なく受け入れることができた。

全体の見せ方はアニメの「活撃」に近い印象を受けました。ただ、大きく違うのは「かつての主を救えるかも知れない局面に立たされて、今の自分の使命との狭間で苦しむ」ことが、メインもしくはクライマックスの要素にはなっていない点。これによって、刀ステとも花丸とも違う「本能寺の変とその周辺の歴史改変に立ち向かう刀剣男士」の姿を見ることができたのは良かった。三日月宗近を中心に据えて、いくつかの、そして多方面からの意外な展開も含みつつ、百分強という時間の中で最大限に楽しませていただきました。

 

以下、思い出した順に箇条書き。全くまとまってません。

呼び名や設定、展開など、核心はぼかしたり薄い色にしつつも思いっきりネタバレしているので注意!!

 

  • 時間を移動する場面がキレイ。個々専用の透明な玉に時間を移動する力があるということなんだろうか?
  • 不動と日本号が「号ちゃん」「不動ちゃん」って呼び合ってて仲良しで和む。酒飲み仲間なのねー。
  • ここの薬研は骨喰のことを「骨喰兄さん」と呼ぶのか*3
  • かつての主、森蘭丸の最期の時を思う不動。短い場面でも張り詰めた表情から様々な葛藤が感じられて、辛かった*4
  • 序盤から審神者ががっつり出てきてびっくり。顔ははっきりとは見えなかったけど、壮年男性の模様。三日月とは長い付き合いで、信頼関係もある様子でした。
  • 三日月を除く面子が戦装束のままで武装を解いてくつろぐ姿が新鮮。不動、事情が事情とは言え甘酒飲み過ぎ!そして日本号の、内番衣装ですらないただの部屋着ジャージ(多分寝間着兼)……良い……
  • ばみちゃんお人形さんみたい……お肌キレイ……真っ白イノセンス……(語彙力が来い)
  • 鶯丸が、登場したその瞬間から鶯丸だった
  • 映画本丸の長谷部は終始仏頂面。よりによって主と三日月が隠し事をしている様子なんだから、むべなるかな。頼もしいアニキな日本号との漫才、ありがとうございます。
  • クールビューティまんばちゃん。三日月のことを訝しみながらも信頼はしている様子。割と古くから居そうな雰囲気だったけれど、映画本丸の初期刀なんだろうか?日の光の下だと綺麗さがいっそう際立っておりました。
  • おみ足に定評のある薬研ですが、当方は白シャツ姿の眩しさにやられた模様です。まんばちゃんとばみちゃんも一緒の川辺のシーン、なんなんだこのきらめく空間は……。
  • 銀幕の三日月宗近もまた、刀の付喪神そのものでした。ふとした表情にも老成を感じる。なのに戦闘時には華麗な中にも無機質さがあって、刀であるということを強く意識した。刀ステとはまた違う解釈・見せ方だったように思います*5織田信長に対しても「自分の方がじじい」みたいな事を言ってて、そう言えばそうなんだよなー、と改めて認識。 
  • 三日月だけじゃなく、刀ステに出演している方々は役作りを多少変えておられました。それでも尚、(本丸は異なっていても)同じ刀剣男士という軸がぶれないのは凄い……。
  • 複数の方が仰っているように、刀剣男士それぞれの個性はあまり詳しくは描かれず、三日月を中心にした歴史ミステリー+特撮、という趣でした。山姥切の写しコンプレックスや長谷部の「主命とあらば」な部分はほとんど、あるいは全く描かれていなかったりする。ゲーム中の台詞も大部分が普通の台詞に交じってさりげなく発されており「足元がお留守だぜ(日本号)」も「命が惜しければ引け!(鶯丸)」も随分あっさり言うなあ、と思っていたんですが、そういった部分もより広い客層を意識しての描き方なのではないかという趣旨の感想を拝見して、目から鱗だった。
  • 殺陣もまた、映画ならではの撮られ方をされており、城壁を垂直に駆け上がる薬研とか、レスリングのような格闘術の不動などを見ることができて興味深かった。欲を言えば、殺陣はもうちょっと引きで見せて欲しかったかも……。
  • 歴史ミステリーとしても楽しめる、というような事が告知にあったけれどそう来たか……三日月の口から語られる真相に痺れた。
  • 無銘の正体はもしかしたらとは思ったものの、てっきり鯰尾とか宗三とか、誰かしらと接点のある実装済みの男士かと……新しい子が来るとは完全に予想外だった。しかも、見覚えのある顔のような気がしてエンディングのクレジットを確認したら、ウル@マリーゴールドを演じてた方だった。そして森蘭丸役はDステTRUMPのREVERTHのウル(もしくはTRUTHのソフィ)。繭期の審神者をさくっと刺しにくるキャスティング。
  • キャスティングと言えば最後の方の本丸。後ろ姿だけ映ったとき、「あれ? 皆刀ステ本丸にいる男士だなー」と思ったらさあ……映画館じゃなかったら声上げてたよ!豪華なサプライズをありがとうございます。
  • まさかの女児審神者に面食らう。しかし、審神者と戯れる男士たちいつかpixivで見た光景や、幼女を背負って幸せそうな三日月がいといたく微笑ましかったのでよきかなよきかな。
  • エンディングテーマは映画館で初めてフルで聴いた。格好いい!

まだ書きたいことがある気がするんだけど、このあたりで区切ります……。

本編前の映画泥棒ムービーは、不動、鶯丸、長谷部でした。例のあいつの出現に客席で驚く不動→捕獲する鶯丸だけで既にシュールなのに、その上更に、お部屋でいそいそと違法ダウンロードを試みる敵大太刀&捕まえに来た長谷部とか、爆笑するしかなかったわ!

感想や考察、出演者やスタッフへのインタビューなどを漁っていたら、あれはそういう意味だったのか!という場面や、見返したいところがたくさん出てきたし、映画泥棒の2週目も気になるので、再度の鑑賞を真剣に検討中です……。

 

*1:発表直後に映画の公式Twitterをフォローしてはいたんだけれど

*2:全員集合ビジュアルの

*3:確か活撃では「骨喰兄(にい)」だったので

*4:隣のお姉さんがハンカチで目の辺り押さえてた

*5:このエントリ全体がそうなんだけれど、どの媒体の見せ方が優れている、とかじゃなく単純に異なっているというだけ

【観劇記録】1/12 トゥーランドット ~廃墟に眠る少年の夢~(少年社中)

 

  • ネタバレ防止のため、観劇予定の方は回避推奨

 

ポスタービジュアルがいつにもまして美麗なのと、元ネタのオペラ*1が好きなので、ビジュアルが公開された時から気になっていました。

少年社中の作品は「アマテラス」「ピカレスク◆セブン」を劇場で観ており、エンタテインメント性の強い作品を上演する劇団、という認識です。今回も、その面では期待を裏切ることなく、途中のあっと驚く展開も含め、最後まで飽きることなく鑑賞できました。演出面では映像が要所要所で効果的に使用されており、ダンスパートも格好良かった。衣装も、「劇団」のメンバーは中華テイストのデザインに南国の鳥を思わせる鮮やかな色合いが美しく、支配者側の白の衣装と対を成しているようで、こちらも見応えあり。

 

主人公の青年、カラス*2はいい意味での暑苦しさがありました。熱血青年なんだけどカラッとした爽やかさも備えていて、ダンスなどでの身体の動きが軽やかだったのも鳥っぽくて良かったです。

ヒロインのトゥーランドットケツァール)は、初めてお目にかかった役者さん。幕開きから3日目ということもあったのか、膨大な量の台詞の滑舌が時々不安定だったのは否めないのですが、声はきれいに出ていたので、日が進むにつれて改善されてくるんじゃないかな、とも。そして、ダンスには惹かれるものがありました。激しく主張が強い訳ではないのに、振りの一つ一つが丁寧で、大勢の中で自然に目がいってしまう。

謎の男は……何を書いてもネタバレになるのでこれだけ言わせて。とても素敵でございました。

少年社中の方々も、他のゲストの方々も、熱のこもった演技とパワフルなダンス&アクションで存分に魅せてくれた。

ただ、お話の中でどうしても引っかかってしまった点がいくつかありました。

 

(以下、核心はぼかしつつも大きめのネタバレを含みます)

 

 

冒頭に元ネタのオペラが好き、と書きましたが、音楽と、おとぎ話のような世界観が好きなのは本当です。ただストーリーそのものは「まー昔の作品だからしょうがないけどさ……」と、いろんな方面から突っ込みどころ満載だったりもする。確かに、トゥーランドットの物語が作品世界に重ね合わせられていて、三つの謎の部分も効果的に劇中の展開に生きていたりいたりする。それ自体は上手いなあ、と素直に思えるんだけど。

まず、あのふたり(not主役コンビ)が何でラストであんな風になったのかがよくわからなくて……。私の思い違いでなければ、「意識はしているけれどどうしても譲れない部分がある」みたいな描写すらなかった。 それなのにあのラストは唐突すぎて、あなたたちいつの間に??ってハテナマークが頭を飛び交ってた。あまりにふたりの個人的なやりとりや関係性の提示が少なすぎて、劇中劇でのカラフとトゥーランドットにストレートに重ねるには、ちょっと無理がある気がしました。人として尊敬することと、恋愛対象として好き、ということはイコールじゃないからね、決して。それから「お父様」といい「二人の◯◯」といい、「無慈悲で残酷で愚かな彼女」の過ちを正し、教え導く側のリーダー的存在が皆男性という点。そういう前時代的な価値観をそのまま踏襲しちゃうんだなー……ともちらっと感じた*3。ここの作品は男性も女性も強くてかっこいい(同時に弱く愚かしくもある)、というイメージがあったんだけど、今回は女性陣が誰一人としてステレオタイプの域を出ていなかった*4のが残念だった。

あと、クライマックスの劇団の仲間たちの場面。あれ、正直ちょっと気持ち悪かったです。ひとりが賛成したら次々「そうだね」「そうだよ!」とあったかい雰囲気でまとまっていって、トゥーランドットケツァール)が最初に仲間に加わる時に否定的だったメンバーなんかも簡単にそっちに回っちゃって、感動するより先に同調圧力めいたものが感じられてきっついなー……と。せめて、嫌だ!と一度逃げてから「どうせ◯◯させられるんなら、せめて一矢報いてやる!」って言いながら結局戻ってくる、みたいなメンバーがひとりくらいいても良かったんじゃないかな……。

 

個性豊かな劇団メンバーたちが繰り広げるやりとりは楽しかったし、泣きそうになってしまった場面もありました。実際の稽古場風景を彷彿とさせる場面も随所にあり、特に演劇の世界に身を置いている人なら、響く台詞がたくさんあるかも知れない。稽古のシーンで、かなり具体的な固有名詞を挙げながらダメ出しをするところはめっちゃ笑った。作中の人間とAI・ロボットの対比を通して投げかけられた、現代人への問題提起(というように私は受け取りました)も良かったです。だから尚更上記の部分が引っかかってしまうんだよな……。

最初に書いたように、全体的には楽しむことができました。ただ、ストーリー面でどうしても首を傾げざるを得ない部分もあった、というのが本音だったりもします。

 

*1:正確にはトゥーランドットの物語の中で一番有名なプッチーニの作品

*2:インタビュー記事で役名も載ってるからOKだよね?以下同様に役名の記載あり

*3:むしろ劇中劇のラストの方が最終的に純愛っぽくまとまってて好感が持てたくらい

*4:少なくとも自分にはそう思えた

【観劇記録】2018年下半期ざっくりまとめ

 

  • ブログに感想をアップしてないものやライビュ、舞台関係のコンサートなども含め、ざっくり振り返り
  • ネタバレ多少ありです

 

2018年観劇まとめ、下半期分です。

 

7月

感想はこちら。初テニミュでした。次こそ見切れない席で……!

 

  • 宝塚 星組「ANOTHER WORLD」「Killer Rouge」

ANOTHER WORLDはとても面白かったです(作者が某マトカの人と同じとは思えないくらい……)。 適材適所で当て書きがぴったりとハマり、コミカルな部分も楽しかった。あの康次郎を演じられるのは紅さんしかいないんじゃないだろうか。テーマソングがクセになる。もはや医療*1。キラルーもまた熱気と勢いがあり、今の星組でこういうのが観たかった!と思わせてくれたショーでした。

 

  • 舞台『刀剣乱舞』悲伝 結いの目の不如帰(刀ステ)

感想はこちら。6月に初日をライビュで見たので、話や演出はわかっていた状態での観劇でした。リアルで観ると舞台全体の美しさや殺陣の迫力に魅了されまくり、刀ステって美しい……という気持ちが大半を占めた結果、終演後に追いトレブロ+2Lブロマイドセット購入しただけでは飽き足らず、後日別会場に個人ブロマイド全員分(with鵺ちゃん)と円盤予約までしに行ってしまうというわけのわからん衝動に駆られた。

 

  • 『新・幕末純情伝』FAKE NEWS

色々考えてしまった舞台。沖田総司に対する男たちの態度は、種類は違えどどいつもこいつもゲスだしクズだしでムカつく。なのに、そこ以外は同情できる部分もあったりするからなおさらモヤモヤするし、最後の方では涙が止まらなくなったりもした。過去の上演記録を調べたりしてるうちに、何とか自分の中での落としどころは見つけることができたんだけども。記憶が鮮明なうちにちゃんと感想まとめておきたかったな。

 

8月

凱旋門は主人公とヒロインの話がひたすら苦痛で、テーマ曲の美しさと他の登場人物の群像劇的な部分が救いでした……このせんせいの脚本苦手なんだよう*2。ガトボニはかわいい場面もあったけどなんというか濃過ぎて……ラテンと猫混ぜなくてもよかったんじゃないかな(ぐったり)

 

感想はこちら→(1回目)(2回目)。どっぷり繭期。

 

9月

前売り敗退して当日立ち見。MESSIAHは島原の乱がテーマという時点で泣く。ポスターの印象ではダーク寄りなのかなと思った明日海さんは正統派ヒーローだった。仙名さんのソロ歌は神がかっておりました。柚香さん演じる右衛門作(えもさく)の名前を聞いた時「シマバラン伝説」が頭をよぎったのですが、洗礼名で呼ばれることが多くてほっとした(ん?)。松倉with部下たちや松平信綱、鈴木、将軍家綱など、幕府方の人たちが良かった。ショーはオープニングがアナスイを思わせる色使いで綺麗でした。水美さん大活躍だったなー。

 

感想はこちら。ツッコミどころは多少あれど楽しめました。リボーンとランボが本人過ぎた。

 

10月

感想はこちら。繭期をこじらせる一方。

 

歌、音楽、役者さんたち、衣装、舞台装置、照明……何もかもが美しくて「幸せなひとときを過ごさせていただいた……」という気持ちでいっぱいに。お話の方は辛い部分も多くて、何度もオペラグラスを濡らしたんだけども。役替わりは「花總/ソニン/古川/原田」回でした。他のパターンも観てみたかった。

 

毎度のことながら2次元作品*3の再現率の高さに驚くばかり。紅さん演じる凜雪鴉もですが、七海さんの殤不患がとても格好よくてハマり役でした。七海さんが退団されてしまうのはとても寂しい。キラルー台湾公演バージョンは、マスクオブルージュと紅子にすべて持ってかれた気がする。愛子ちゃん&礼子さんかわいい。

 

11月

  • 刀剣乱舞』宴奏会 アンコール(刀オケ)

感想はこちらよこすか芸術劇場昼の部です。泣くとは思わなかった。

 

2017年に歌舞伎座で観た「野田版」に衝撃を受けて、ストレートプレイの方もいつか観たいなあと思っていたら予想外に早く叶ってしまった*4。うまく感想が書けないんですが、こちらも素晴らしかったことだけは確か。特に夜長姫が可愛らしくて残酷で最高だった。蟹と銀座のライオンとシャガールが忘れられそうにない。

 

愛希シシィには、これまでの宝塚のシシィとは方向性の異なるエネルギッシュさを感じました。月城ルキーニは予想以上に好演。最初から最後まで「陽」の部分のある暁ルドルフの解釈も面白かった。珠城トートは従来のトート像にとらわれず、もっとガラっと役の解釈を変更してしまった方がしっくり来たかも?という印象。それと、ヴィンディッシュ嬢がすごく良かった。

 

12月

  • 宝塚 花組「Delight Holiday」

感想はこちら尊い

 

  • ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」"最強の場所(チーム)"

2階の後方席でした。青年館は4回目だったんだけど、サイド席最前→1階席最後列→2階席最前列→今回と、どんどん座席が後ろになっているので、次回はまた前の方が取れるといいなあ。さすがに遠かったのでオペラ必須だなーと思ってたのに、ほぼ常時、舞台上の広い範囲に誰かしらいるから、視点を固定してしまうのがもったいなくてほとんどオペラの出番がなかった。及川&岩ちゃんコンビが特に良かったです。1幕ラストでちょっと泣いた。

 

「白鷺の城」はストーリーのある和物のショーでした。華やかで豪華な和物のショーは大好きなので、もっとやって欲しい! 転生を繰り返す由緒正しい家系の陰陽師と、長い時を生き続ける美しい妖狐という役どころが、真風さんと星風さんのそれぞれの持ち味にぴったりとハマっておりました。お芝居の方は駄作とは言わないけど、いまひとつ盛り上がりに欠けた感が否めず。芹香さんと愛月さんの悪役は素敵でした。

 

2018年の観劇納めは宝塚になりました。この他に歌舞伎座にも何度か足を運んでいるんですが、うまくまとまらないので割愛……。白浪五人男や三人吉三の有名な場面をやっと観ることができたのは嬉しかった。

昨年は2017年ほどは劇場に行けていない気がしていたけれど、数えてみたら30回で同数だった。感覚が麻痺しかけているんだろうか。回数的には今くらいを維持できればいいかな、と思っているので、今年も財布や心身の健康状態とはしっかり相談しつつ、楽しく、悔いなく観劇できますように。そしてチケット運よ来い、いや、来てください……!

 

*1:みたいなツイートしてる人がいて頷きまくった

*2:新源氏は面白かったし仮面のロマネスクも嫌いじゃないんだけども

*3:人形劇なので正確には2次元じゃないけど

*4:Twitterで相互フォローさせていただいている方にチケットの取り方のアドバイスをいただかなかったら取れなかったかも…ありがとうございました。

【観劇記録】2018年上半期ざっくりまとめ

 

  • ブログに感想をアップしてないものやライビュなども含め、ざっくり振り返り
  • ネタバレ多少ありです

1月

  • ミュージカル「黒執事」-Tango on the Campania-

感想はこちら。ミュージカルらしい華やかさあふれる舞台でした。新作やるならファントムファイブ観たいけど、原作の展開が大変なことになってるから当分は難しいかな……。

 

感想はこちら。もやっとしてしまう部分はあったけれど、登場人物たちの暴れっぷりが清々しくもあった。

 

  • 髑髏城の七人 Season月 上弦の月(ライビュ) 

感想はこちら下弦の月とは役の解釈や受ける印象が違ってて面白かった。

 

新トップ、望海さんのお歌の迫力に感服……真彩さんの綺麗な歌声と、朝美サン=ジュストの子犬のような狂信者っぷりと、妖しい美しさの彩凪ロラン夫人にも。SUPER VOYAGER!は通称ララランドのシーンが好きでした。彩風さんは観る度に存在感が増している。

 

  • 髑髏城の七人 Season月 下弦の月(ライビュ) 

感想はこちら。12月から更に進化してて瞠目。 

 

2月

個人的に脚本が合わなかったのが残念。演出は面白かったです。キャストも良かった。

 

感想はこちら。これぞ「極上の美」。

 

3月

映画館で初演の映像見ました(結局ステアラのは行ってない……)。終始アツい、というか良い意味で暑苦しい。音楽が格好よかった。ランダムスター夫人の演技に圧倒された。

 

映像を使うことが多い2.5舞台で、映像は一切使わずに、演出と演技だけで自転車競技を表現してしまうペダステにはいつも驚かされる。そして今この項書こうとして公式サイト開いたら新作の情報出ててびっくりした。来年5月かー。

 

4月

  • 宝塚 月組「カンパニー」「BADDY」

感想はこちら。結局BADDYはライブ音源CD購入して移動時に聴きまくるレベルでハマった模様。

 

感想はこちら。「座席があまり良くなかった」について詳しく書くと、前に背の高い男性が座っていたので、舞台センター付近が思いっきり遮られていたのでした……客席降りをちゃんと観られたのと、熱気がバシバシ伝わって来たのは良かったんだけどね。

 

感想はこちら。新生薄ミュはスタイリッシュでした。ちー様篇も楽しみ。

 

5月

  • 宝塚 花組「あかねさす紫の花」「Santé!!」(博多座ライビュ)

お芝居の方は、ヒロインの額田王の心情がどうにも腑に落ちなかった。宝塚のいわゆる「往年の名作」は、特に女性キャラの描かれ方にモヤモヤしてしまうことが少なくなく、こちらも例にもれず。ひとつひとつの場面や台詞はとても美しかったんだけど。「Santé!!」は元々好きなショーで、本公演verとちょいちょい違ってて楽しめました。

 

感想はこちら。ほんと何で一幕物にしなかったのさ天河……。

 

6月

  • 舞台『刀剣乱舞』悲伝 結いの目の不如帰(刀ステ・初日ライビュ)

感想はこちら。情報量が多すぎてキャパオーバーになったものの、パンフとシークレットのクリアファイル&缶バだけでは足りず、後日トレブロだけ買いに明治座に行ったことは確か。

 

  • ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」"はじまりの巨人"(ハイステ)

感想はこちら。初めてのハイステは想像していた以上に楽しかった!ダンスパフォーマンスで各チームのプレイスタイルを表現するのが新鮮で格好良かったです。